六稜トークリレー第77回 「二次電池の発展とグリーンコミュニティでの役割」
京都大学特任教授、小久見善八さん76期
トークリレー感想
76期 吉本 宏
近年、 エコカーや太陽光発電等に必要な二次電池が注目され急速に開発が進ん
でいます。小久見さんは平成21年10月より 国の蓄電池プロジェクトに関わり、
“新しい蓄電池のプロジェクト”のリーダーを務めています。
ところ で、私が義務教育時代に学んだ電池の知識はマンガン乾電池あたりで停
滞し、最新のLiイオン 電池とはどんなものか教えてもらえればいいな程度の不
遜な思いで聴講しました。 2時間の トークは深い知識と多くの経験を基に、我
々のような素人に簡潔に説明したものでした。(それでも結構難しい。)
有名なボルタの電池が発明された1800年ごろ から近代の電池の歴史が始まった
ようですが、Li電池はじめ昨今注目されている電池の開発は1980年以降 のこと
とのことで、マンガン電池のレベルで停滞、ガラパゴス化した自分の知識には含
まれないのも当然と妙に納得したところです。
化石燃 料に代わる太陽光やその他のクリーンなエネルギー源を有効に活かし、
かけがえのない地球を守る救世主になり得る電池だが、電池そのも のの効率
アップや、社会的なスマートグリッドの構築など多くの課題も指摘されていました。
その為に、多額の血税を投入した国の命運を担う産学官のプロジェクトを預か
り、自負と ともに重責感のにじむトークでありました。
同期生の一人としてプロジェクトの成果を期待し、ひそかに応援しようと思った
ひと時で した。
76期 日下和信
リチウム電池とリチウムイオン電池が大きく違って、後者が安全に
なったと知れました。起電力が3.7Vは凄い、1.2V~2V 更に3V
それを超えて3.7Vハイパワーな電池の時代が来ていることを実感
しました。
76期 湯浅浩俊
1)小久見先生の研究テーマである「2次電池とは蓄電出来る電池」の事です。
2)この蓄電池については、これまでは皆様ご存じの「ニッケル・カドミニウム電池(ニッカド電池)」が有名でしたが、
小久見先生達が開発された「リチウム・イオン電池」の方が小型で圧倒的に寿命が長いため、
今やパソコン、携帯電話の電池はこれが主流となっています。
3)今回の先生の講演は、この「リチウム・イオン電池」を
①ハイブリッドカーに搭載する(パワー電池計画)
②電力の備蓄に利用する(ライフ電池計画)
という壮大なもので、現在世界各国で開発競争が進められています。
①のハイブリッドカー利用については、たとえばトヨタのプリウスは現在「ニッケル・水素電池」を搭載していますが、
これを出力が数倍の「リチウム・イオン電池」に切り替えれば小型で高性能な車が出来ます。
②の電力備蓄については日本は今後10年間で百万キロワット級の原子力発電所を15基建設する予定ですが、
「電気は効率良く貯蔵できない」という欠点を持っており、昼夜連続発電を行うと、昼は供給できても夜間は電力が過剰となり、
エネルギーロスが発生するため、蓄電方法の検討が世界のエネルギー政策に欠かせない重要テーマとなっています。
先生のテーマはこの問題を蓄電池である「リチウム・イオン電池」で解決しようと云うもので、これはノーベル賞クラスの研究です。
本年の6月1日に経済産業省が発表した「産業構造ビジョン2010」では、
今後の日本の成長戦略分野として、エコカーなどの環境・エネルギー分野と原発等による電力インフラをターゲットに挙げています。
こう考えてくると、数年後に小久見先生の「ノーベル賞受賞記念講演」を六稜会館で行うのも夢ではありませんぞ。
76期 浅野昌也
六稜トークリレーに京大特任教授の小久見氏がリチウムイオン電池について講演する
という案内をもらったので、同期のよしみもあり聴講しました。たまたま私が教鞭を
執っている近畿大学大学院総合理工学研究科の院生の中にリチウムイオン電池用の材
料を研究している院生がいますので彼も誘って聴講しました。小久見氏は蓄電池に関
するNEDOのプロジェクトリーダを勤めていますが、講演の内容はリチウムイオン電池
に関する原理、構成、材料、利用方法、エネルギー政策など非常に幅広いものであり
ましたが、易しくかつ分かりやすく話をされていました。近大の院生も小久見先生か
ら直接話を聞くことができてとてもよかったとコメントをしてくれました。しかし、
敢えて言うなら、後半部分の材料に関するところは、時間の都合と専門過ぎるという
ことで割愛されてしまったことと質問の時間がほとんどなかったことが少し残念で
す。
最後に、小久見氏は、リチウムイオン電池の分野にも、今後は韓国、中国企業が出
てくると予想されていましたが、半導体デバイスや液晶ディスプレイと違って、日本
企業が是非勝ち続けて欲しいと思いました。小久見氏の今後の活躍を祈念します。
Last Update : 2010年9月8日