【第114回・12月7日(土)】 「褒め」を科学する

TR114-131207TR114-Sadato-DSC07332TR114-Sadato-88ki-DSC07337トークリレー定藤規弘さん@88期(脳科学者)

六稜トークリレー(第114回)『「褒め」を科学する』 聴講レポート

2013年12月の六稜トークリレーは、88期が誇る脳科学者、自然科学研究機構生理学研究所の定籐規弘教授が、「褒め」と「褒めて育てる」ことについて、脳科学的にわかりやすく講演された。最初、トークリレーの会場、同窓会館(六稜会館)の建設寄付に携わった回想から始まり、寄付がもつ効果、寄付をすることで得られる他者からのよい評価こそが社会的報酬であり、ヒトにとって「褒め」られるは、食べ物など基礎的報酬や金銭報酬と同様の社会的報酬の効果があることを、論理的に順次解き明かしていった。 その際、人間の脳が報酬として感じていることを、最新の科学的手法である機能的核磁気共鳴断層撮像装置(f-MRI)を用いて、脳の同じ場所「線条体」で、同じパターンで、定量的に測定されたことをスライドで図示し、われわれ聴取をうならせた。 休憩を挟んだ後半には、教育学の専門家ではないと断りつつ、「褒め」から一歩進めて、「褒めて育てる」ことの科学的意味を、ヒトを使ったいくつかの科学的実験結果を交えて説明。その中で、「褒め」が動機付けにつながる5つのポイント(期待は高く基準は現実的になど)を解説したほか、学習の途中に金銭的な報酬を与えることが逆効果となることを、ヒトのf-MRIデータで明示した。さらに、スポーツコーチングを例に、褒めることは練習の動機付けだけではなく、練習効果の定着にも効果があることをデータで示し、「褒めは良薬、工夫して使おう!」と締めくくった。

88期坂東政市

 六稜トークリレー Talk Relay