第5段階
リサイクル再考
- 電力供給と並んでわれわれの生活に直結している環境問題のひとつにゴミ処理の問題があります。この数年来、高濃度のダイオキシンが検出され、長期間にわたるゴミ処理の欠陥が発覚…住民の激しい非難にさらされた豊能郡美化センタ-を先日、訪ねてみました。
ゴミ処理というのはですね。大なり小なりどこでも困っているのですが、能勢の場合は、焼却炉そのものの構造を含めて焼却方法に問題があったわけです。もと もとこのゴミ処分場に焼却炉が設置された当初は、他の多くの処分場で同じ焼却炉が使われていましたから…何ら問題視されなかったんですね。ところが実は、 放熱用の冷却ファンからダイオキシンが漏れ出ていたんですね。詳細経過については新聞等の報道で明らかにされているので、ここでは述べませんが…そのようにして大気中に拡散された高濃度のダイオキシンが、処分場周辺 の土石に大量に蓄積するわけです。これら膨大な残留物をどのように処理するのか。今後、該当地域のゴミ処分をどのように進めるのかが大きな課題として残さ れています。
前者については、処理に関する新しい方法を検討中ですが、その量の多さを考えると莫大な費用と時間が必要であり、いずれ住民に負担が及ぶことでしょう。後 者についても、これまで能勢町・豊能町の2町で行ってきたゴミ処理を近隣市域に協力を仰いで当座をしのいでいる…のが現状であり、少なくともこの処分場は 二度と利用することが無くなるのではないか。これも結果的には住民に負担のしわ寄せが行くことなります。
それで最近よく言われるようになったのが「リサイクル」。あれもね…みんな嘘ッパチの気休めですよ。リサイクルを繰り返しても結局、最後は捨てることにな ります。ボクが言いたいのは「リサイクル、リサイクル」と合言葉のように合唱連呼するだけではなくて、ちゃんと儲かる「リサイクル」だけを考えなさいとい うことなんです。市場経済の原則に反したリサイクルは成立しない。
例えばペットボトル。1kgのペットボトルを回収するのに500円の経費がかかると言われています。これを細かく粉砕するのに100円…しめて600円か けて再生した原料の売り値が、たったの僅か3円。これではリサイクルなんて成り立つわけがない。何のためのリサイクルか。いま成功しているのは「ビール 瓶」だけですよ。
褐色のビール瓶は回収して機械洗浄するコストが20円ほどかかると言われています。ところが新品のビール瓶の原価が40円ほどするので「リサイクル」が経 済的に成り立つわけです。いっぽう、酒や醤油の透明な瓶は回収や洗浄に人手ばかりかかって…そのコストを計算していくと明らかに市場経済に反してしまうん です。だから自然とリサイクルから外れたんですね。
他のものも同じことで…猫も杓子も「リサイクルが大切」みたいなこと言ってますが、それはモノに依るということなんです。無理しなさんな、と言うこと。 リ・サイクルというのは人間と人間の間におけるリサイクルじゃぁない、人間と自然とのサイクルの問題としてとらえるべきです。
自然の中でいろんな環境・生物(人間)がそれぞれ共生しながら回ってゆく、このサイクルが問題なんです。多くの理工系の人は単に資源問題としてリサイクル を有用なこととしてとらえていますが、経済学的に言えば…市場経済の需要を超えて供給すると、それは「資源」ではないのです。
Update : Mar.23,2000