タイからサワディクラップ〜JICAシニア海外ボランティアだより【第5話】
挫折感
▲ REO11施設見学会での記念写真
後列左から5番目が、ホストのREO11のダイレクター
日本人は、筆者と妻の二人、どこにいるか分かりますか?
タイに来て、10ヵ月経ちました。
タイでの活動は、残り1年2カ月間となりました。
この時点になって、挫折感、無力感、悲壮感が漂い始めました。
その第一の理由は、4月にRatchaburiの2つの市からGGP(草の根事業)として、日本大使館に応募したコンポストと処分場に関する提案が、2件とも不受理であったからです。大使館からの連絡による不受理の理由は、「住民参加型の”Community Development”と言う点から、採用できない」とのことでした。
Communityを市、町、村等の自治体と解釈しましたが、タイでは、Communityと呼ばれるのは、市を分割する共同体のことで、市からの提案でなくて、さらに市民レベルに近い、共同体からの提案にする必要があるようです。
また、市の提案を再度、吟味すると、確かに住民参加型の面が不足していると、思います。でも廃棄物処理は、日本でも、タイでも自治体(市、町、村)の仕事であり、Communityと呼ばれる共同体単独では、出来ないと思います。
従って再度来年応募するには、今年は、日本の例を調査した上で、タイでの住民参加型で共同体から、廃棄物処理の新しい事業を提案できるか、検討する必要が有ります。
私の職種である廃棄物管理支援のボランティア活動をGGPで、タイで展開することは、現状非常に難しいと、感じました。
その理由は、GGPはGGPの目的が有り、その目的が、私のタイでのボランティア活動とマッチングすることは少ないからと、思います。配属先のREO8の仕事は、近隣5県の自治体等に対する、環境管理・測定技術に関する助言や環境モニタリングであり、私の活動は、REO8での活動ですので、その指導が第一の仕事です。
そこで、ボランティア活動で、成果を出そうとすると、なかなか難しいと、近頃考えるようになりました。成果と言うと、どうしても数値が一番評価しやすいため、数値、技術に関しては、データを取りたいと思います。突破口として、実際に見える形である、GGPと言うデータを取れる機会(バス)が有りました(乗りました)が、すぐに下ろされました。
来年4月にまた、チャンスはありますが、同じコンポストと廃棄物処分場で、GGPに再度応募するには、現在住民参加型にどのようにしたら出来るのか、明確なアイデアが有りません。
そこで、GGPとしての資金は得られなくても、今後、検討中の5項目を、予算の取れていない状況で、どのようにまとめていくかを考えると、5ヵ月前の2,3月の状況と同じで、大変厳しい仕事であり、厳しい状況となりました。当面、第四話で書いた、5項目について、活動計画を、堀下げて考えてみようと思います。そのうち、データが取れる予算が付くチャンスに恵まれるか、またいろいろ調査、検討して、その発表等を行い、スポンサーを探します。
振り返れば、この1カ月間での遠出は、次の3件でした。
1.6月25日(木)〜27日(土)
REO8職員と一緒に、Nakhon Ratchasima 県での環境研修旅行に参加しました。
研修では、次の通り貴重な経験をしました。
(1) Nakhon Ratchasima市で、東北4県の環境に関する指導をしているREO11の施設見学と実施中のプロジクトの紹介を受けました。
(2) Nakhon Ratchasimaで、大学が、SATAKEの木材チィップをガス化して、そのガスでガスエンジンを回して、発電する試験を実施しており、そのプラントの見学と紹介を受けました。
(3) Wang Nam Khiaoでの、REO8の職員30名と一緒に懇親会をしました。
▲SATAKEの木材チップガス化発電プラント
▲Wang Nam Khiaoの宿泊したコテッジ
2.7月4日(土)
同期の青年海外協力隊員と一緒に、Amphawa水上マーケットで夕食、買い物と船での蛍見物をしました。
▲Amphawaの水上マーケット
(1) タイの蛍は、日本と違って、光が鮮やかで、光る周期が早く、まるでクリスマスツリーの小さな電球のような輝きでした。光が弱すぎて手持ちのデジカメでは、残念ながら揺れる船の上から写真は撮れませんでした。
(2) 水上マーケットは、Damnoen Saduakの朝市とAmphawaの夕方の市がタイでは有名ですが、夕方暮れていくなかでの水上マーケットの感じがタイの緩やかな時間の進行と相まって、豊かな情緒を醸し出していました。
3.7月5日(日)〜8日(水)
連休を利用して、同期のボランティアとKanchanaburiを旅行しました。
(1) 5日は7段あるErawanの滝に沿って、小道を登りましたが、夕方16時で上りは禁止となり、結局4段目の滝までしか行けませんでした。でも2段目の滝では、滝壺を泳いで、滝の下に入り滝に打たれました。
(2) 6,7日は、Kanchanaburi 最北部のSangkhla Buriのコテッジに2泊しました。大きなVajiralongkorn堰止湖で船に乗って、寺の遺跡を訪ねたり、木造の橋を渡ってモン族を見たり、帰りにはHin Dat温泉で温まり、Kanchanaburiの森の緑、湖と温泉に浸り、自然を満喫しました。
▲筆者が滝に打たれている様子
▲Kanchanaburi県最北部Sangkhla Buriから
堰止湖を望む
活動の成果は厳しい状況ですが、国際協力が第一と考え、タイを理解して、タイ人と付き合い、そこから出てくる友情を絆として、残り1年2か月間、努力をして、有効に過ごしたいと思います。
Last Update: Jul. 25,2009