▲ソロリサイタル終了後楽屋にて
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皆様こんにちは。
ウィーンは秋があっという間に終わって木枯らしが吹き、長い冬に入りました。10月はソロリサイタルが2回、トリオのコンサートが3回、大学の授業の伴奏等で、練習、本番、伴奏合わせで一日一日がバタバタと過ぎ、息をつく間もなく終わってしまいました。
それでもコンサートの後はいつも幸せな時間で、もちろん自分の中でうまくいかなかった所や具合の悪い部分は常に課題としてありますが、自分の演奏を通して聞きに来てくださった方々と同じ時間を共有できる喜び、すばらしい作曲家の曲を演奏し表現できる喜びを感じます。
今週末はやっと4日間スケジュールが空いたので長らくできていなかった散歩、運動、読書、料理をしながらゆっくり過ごすことができました。
ピアニストは日々楽譜と88鍵の白と黒の鍵盤と向き合って練習、訓練することも大切ですが、演奏者、表現者なので、自分の内面をじっくり見つめたり、瞑想したりすることが必要不可欠です。自分は今どういう状態で自分に足りていないものは何か、それをどう改善していけばいいのかを心を丁寧になぞりながら自分自身を診断します。そういったその人なりの考えが演奏に必ず反映されるし、舞台の上で支えになる鍵になっていると思います。
私の場合は、常に集中力と強い精神を持ちつつ、その中にある繊細さや豊かなファンタジーが湧き出てくるような演奏、語りかけるような演奏ができる精神状態が理想と思っています。
▲ベートーヴェン肖像画
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▲必須書
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さて今回から連載の題名をベートーヴェン国際ピアノコンクールとし、何回かに渡ってシリーズでレポートしようと思っています。10月から野村国際文化財団の助成金を頂いてベートーヴェンの研究をできることになったので、その中で6月にウィーンで4年に一度行われるベートーヴェン国際ピアノコンクールに挑戦することを決めました。そのような流れで今回からコンクールのことを中心に、またベートーヴェンをテーマにして書いていこうと思います。
▲ベートーヴェン国際ピアノコンクール冊子
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ウィーンのベートーヴェン国際ピアノコンクールは今回で13回目、ウィーン国立音楽大学主催、株式会社ベーゼンドルファー・ジャパン協賛で、過去には内田光子さんやシュテファン・ブラダー等著名なピアニストが優勝しています。課題曲は全てベートーヴェンで、前期、中期、後期のソナタをそれぞれ1曲の計3曲、変奏曲1曲、小品1曲、協奏曲2曲です。6月13日からウィーン国立音楽大学Haydn-saalで第1次予選、楽友協会小ホールで第2次予選、大ホールで本選が行われます。
ですが、その前に1次予選に行くための予備予選が2月に世界8都市(ソウル、東京、ニューヨーク、ロンドン、パリ、ボン、ベルリン、ウィーン)であって200人以上の参加者から30人に絞られます。大変狭き門です。
予備予選ではウィーン国立音楽大学のピアノ課の教授陣プラス現地の音楽院の教授、ピアニストの方々が審査員で、私の場合地元のウィーンで教授陣もホールもよく知っていても想像すると今からピリッと緊張してしまいます。2月まであと3ヶ月以上ありますが、この3ヶ月はベートーヴェンに専念して頑張っていこうと思います。
次回は具体的に楽曲を取り上げてみようと思います。
Last Update: Nov.17,2008
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