東京六稜倶楽部【報告】
第82回「古面修復の現状」
見市泰男(81期)
- 古面修復の意味
文化財としての価値を温存しながら、舞台で着用する。強度が必要なため、保存を最優先にした修復法とは矛盾する場合が多い。
- 修復の詳細と例
剥落(彫刻木地から彩色が脱落)……樹脂固定と復元。
剥離(彫刻木地から彩色が浮き上がる)……樹脂固定。
*特に無開口剥離については今後の課題。
彫刻木地……欠損の補填や虫喰いの処置。
- 事例1)スイス・リートベルク美術館
事例2)奈良県吉野郡・天川弁才天社
事例3)宮崎県延岡市・内藤記念館
- リバーシブル
将来より優れた素材や技法が開発されることが確実であるので、再修復を前提として。
*リバーシブルな修復処置を施すことが重要。
*除去し易いことと、除去できることの違い。
*キトラ古墳や高松塚古墳修復の教訓。
- 結辞
歴史は可逆的では無い。破損や老朽化を止めることは不可能ではあるが、文化の伝達者として少なくとも将来へ希望を託せる仕事をしたい。
Last Update: Oct.23.2009