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日時: | 2005年1月19日(水)11時30分〜14時 |
場所: | 銀座ライオン7丁目店6階 |
出席者: | 74名(内65会会員:江原、大隈、山根、峯) |
講師: | 三菱電機上席常務執行役開発本部長 尾形仁士氏(75期) |
演題: | 「薄型テレビについて」 |
講師紹介: | 75期卒。高校時代はハンドボール部で活躍、文武両道に秀でた人物との印象を同期生は持っていた。東大工学部(化学)卒。博士号取得後三菱電機に入社現在に至る。 |
講演内容: (要点のみ) |
(1)会社の宣伝はあまり行なわないようにとのことなので最小限に止めるが、当社は2003年度売上:3兆3千億円、従業員:国内7万人、海外4万人 計11万人の規模。 (2)本日は以下のことについて話してみたい。 (a)各テレビの構造と表示の仕組み (b)ディスプレイの市場動向 (c)各テレビの特性の比較 ※【報告者注】パソコンで作成された説明資料をプロジェクターにてスクリーンに映し説明が行なわれた。 (a)各テレビの構造と表示の仕組み i)ブラウン管TVの構造と表示原理 表示原理:電子銃から電子ビームを発射しこれを側面の偏光ヨークで曲げて、蛍光体に照射して発光させる。電子ビームは左上から右下に走査する ii)ブラウン管の歴史 1897年ドイツにてブラウン管が発明され、1925年イギリスにてテレビジョンの実験に成功。日本で最初にテレビジョンの実験が行われたのは1928年。1936年イギリスでテレビジョン正式放送開始。1951年アメリカでカラーテレビジョン放送開始。 iii)液晶TVの構造と表示原理 2枚のガラス板の間に液晶を封入し、電圧をかけることによって液晶分子の向きを変え、光の透過率を増減させることで像を表示する。液晶自体は発光せず、背後にある冷陰極蛍光管(バックライト)の光を使って表示する。 iv)液晶テレビの歴史 1880年オーストリアで液晶発見。1962年アメリカで液晶の電気光学効果の発見。1973年日本で時計用、電卓用商品化。1987年日本でカラーテレビ商品化。 v)プラズマTVの構造と表示原理 2枚のガラスの間にヘリウムやネオンなどの高圧のガスを封入し、そこに電圧をかけることによって放電し、紫外線が発生する。この紫外線が蛍光体を発光させる。放電を起こすために高電圧が必要である。 vi)プラズマテレビの歴史 1910年フランスでネオン管の発明。1964年アメリカでプラズマテレビの試作。1992年日本で21インチプラズマテレビ発売。1996年日本で42インチプラズマテレビ発売。 vii)リアプロジェクションTVの構造と表示原理 CRTやライトバルブなどの小型表示素子上に形成された画像を工学的にスクリーンに拡大投射する。投影機(プロジェクター)が箱の中に入っている。アメリカでは50〜80インチのTVあり。 (b)ディスプレイの市場動向 i)ディスプレイの事業規模(世界の台数、金額)液晶が急増中。金額は全種類の製品全体で約50兆円。 ii)家庭用TVの動向 依然としてブラウン管が主流。世界的に徐々に薄型になりつつある。日本は薄型がかなり増加しており半分位は液晶又はプラズマ。 iii)家庭用大型TVの動向 液晶とプラズマが増加傾向 (c)各テレビの特性の比較 i)ブラウン管TVの利点と欠点 利点:低コスト、故障少ない、動画の滑らかさ、暗室でのコントラスト 欠点:容量(奥行き)大、重量大、大型化不可(42型まで)色ずれ ii)液晶TVの利点と欠点 利点:薄型(軽量)、製造メーカー多数、寿命長く省電力、明るさ 欠点:設備投資大、視野角の問題(斜めから見難い) iii)プラズマTVの利点と欠点 利点:薄型、大型化、液晶に比べ低コスト<韓国では100インチ(畳一畳より大)のプラズマTVが製造された> 欠点:消費電力、小型化、設備投資、明るさ iv)プロジェクションTVの利点と欠点 利点:大型化、コスト、消費電力 軽量化(部屋の大きい米国では年間2〜3百万台製造されている) 欠点:奥行き(徐々に解消)、視野角、ひずみ、動きの滑らかさ (d)まとめ i)ブラウン管TV:全盛期は過ぎたがコストパフォーマンスの点から捨て難い(安くて性能が良い) ii)液 晶 TV:省エネ(電気代が安い)、明るい部屋での画質に優れているが、低価格化が課題 iii)プラズマTV:大画面化に優れるが、低消費電力化が課題 iv)プロジェクションTV:低価格、大画面が魅力。日本でも普及か? |