東京六稜倶楽部【報告】第18回「俳句の楽しみ〜私と俳句」大隅徳保
    <レジュメ>
    (平成十六年六月・東京六稜倶楽部 配布資料)

    一、「俳句の喜び」: ・自分の感動を表現出来る「喜び」〜「創作の喜び」…文学(小説・詩・短歌等)絵画、書道、演劇等々。
    ・他の人に理解され、楽しさを共感する「喜び」
    ・自然・人・季節との「出会い」の「喜び」
    卒業歌あの先生も泣いてはる    江隈順子(大岡 信「折々のうた」より)
    ハンカチの真白き彼に娘を託す   成田清子(自註句集「成田清子集」より)
    囀を訳せばきっとみすずの詩    小野京子(金子みすず顕彰全国俳句大会 知事賞授賞)
    「私が俳句を愛好するのは、普通の人でもときどき詩人になれるからです。」(村上喜代子)
    「心を落ち着かせじっくりと物をそして自分を見つめる時間。いつもより少しでもていねいな時間。そんな時間をすこしづつでも持つことが出来たら、それだけで俳句を始めてよかったと思う。」(陽美保子)

    二、私の「俳句」生活: ・句集「抜錨」紹介
    抜錨の海のしたたり鳥帰る        大隅徳保
    寒燈や弥勒の頬に指の影 
    ・サラリーマン時代と俳句(「沖」と「門」)
    ・「抜錨」の海外吟
    抽斗の英語の聖書春夕べ(赴任)       徳保
    シャワー浴び白き砂漠の記憶消す(アリゾナ) 徳保
    玉手箱ほどに煙りて落葉焚(帰国)      徳保

    三、「俳句の効用」: ・「俳句人口」の高齢化(俳人協会平均年齢―七十四歳)の現状
    江戸開府以来四百年の蝌蚪      初心(九十九歳)
    ・「右脳」俳句と感性の活性化
    貴賤都鄙出没自在御器噛(ごきかぶり)  ひろし
    ・新しい「出会い」の楽しさ(年賀状、句会での出会い)
    ・「自分史」としての「俳句」

    四、「句遊会」の紹介: ・「65ML」と「インターネット句会」(新しい実験と交流)
    「作品」紹介
    冷えまじや苔を鎧に武将墓 井上寿々子
    祝辞受ける妻の目鼻や汗の中 岩倉一雄
    恋をして花野果てまで歩きたし 小野京子
    一重帯たたむ怒涛の日もありて 梶本きくよ
    雨音の遠くになりて冷奴 金山敏子
    舟渡御篝火赤く水に映ゆ 志水 孝
    春寒の波紋に刻む鳥の足 正林滋二
    お降りの上がりて比叡大いなる 進藤千鶴子
    啓蟄や地下に時計のあるごとし 玉木真代
    壬生寺の翁小雪の縁に舞う 塚口順亮
    まろきものそろへてふふふ葱坊主 平田美鳥
    沙羅落花一絃琴の余韻にも 松中 薫
    街かどに春を奏でるヴィヴァルディ  三上 陞
    池の面の木の影裂きて鳰沈む 峯 和男
    菜の花と空のあはひの湖の藍 八木 冴
    遠花火手繰り寄せたき日もありぬ 高橋相子
    風花に建設現場ふと黙す 猪野美子
    くぐり戸に人あり白き落椿 藤井周子
    海鳥の脇見せて発つ野分晴 大隅徳保

    五、「俳句」入門: ・世界最短の「有季」「定型」詩
    ・「句会」と「投句」
    ・「結社・サークル」と「新聞雑誌」、「カルチャー俳句」
    ・「歳時記」(歳時記は「季節の百科事典」)と「辞書」
    ・「吟行」と「写生」のすすめ

    六、おわりに: ・「健康」と「長生き」の俳句生活のすすめ


    Last Update: Jun.29.2004