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日時: | 2004年5月19日(水)11時30分〜14時 |
場所: | 銀座ライオン7丁目店6階 |
出席者: | 51名(内65会会員:太田、梶本、正林、山根、峯) |
講師: | 長谷川 秀夫氏 (69期) |
演題: | 「日本の卵の黄身はなぜ黄色か〜畜産業界裏話」 |
講師紹介: | 69期卒業。和歌山大学経済学部卒業後兼松に入社、北米、中南米の飼料関係業務に従事した後東南アジア、特にミャンマー農産物関連業務を担当。 |
講演内容: (要点のみ) |
(1) 自分は商社で飼料関係業務一筋にやってきた。小学生の頃を思い出すとその頃の牛乳は水っぽかった。これが現在のように濃い美味な牛乳になったのは、飼料の研究が進み良い配合飼料が出来るようになったため。 (2) 配合飼料には100種類以上の組み合わせがある。戦後は少品種大量生産であったが、現在は多品種少量生産になっている。 (3) 日本の卵の黄身は何故黄色か 一言で言えば、日本は黄色いとうもろこし(カロチンが含まれている)を使っているため。とうもろこしには100種類以上の種類がある。飼料に使うのはイエローコーン、人が食べるのはスイートコーン。 (4) 日本は戦後の外貨不足の時、畜産業を伸ばすためにこの貴重な外貨を使って大量のとうもろこしを輸入した。これは、アメリカでとうもろこしが豊作で多量に余っていたという事情もあった。 (5) アメリカの卵の黄身は以前は白っぽかったが、その後黄身を黄色くする成分が発見された。これがアルファルファ、マメ科の牧草で、サラダにする野菜。30センチ位になると花が咲くが、咲く前に取ってペレットとして飼料に使えないかと考え、カリフォルニア・ペレット・ミルという会社が開発した。飼料は嵩張るがキューブ(さいころ)状にすると輸送コストが安くなる。なお、アルファルファにもカロチンが含まれている。 (6) 以前は卵なら何でも良いという時代であったが、そういう時代は過ぎつつあり、一級の卵とはどういうものかという格付けがされるようになった。最近はヨード卵が評判になっている。 (7) 肉についても、アルファルファを加えると肉の色が薄い黄色になる。牛肉だけでなく豚肉についても同様である。飼料の品種改良は進んだが囲いの中で多数の牛や豚が飼われることでいろいろ問題が生じた。環境により細胞が変化、遺伝子に影響することがあると思われる。この点、放牧しているニュージーランドやオーストラリアではインフルエンザなど発生していない。 (8) 牛乳が美味になったのは、甜菜糖が使われるようになったため。甜菜糖は乳牛に効果的。欧米では早くから使われていたが、米国は輸送コストが大きく、また、欧州は輸出余力がなかった。日本の商社がイランに目をつけ、兼松もテヘラン経由で買い付けを行なうようになった。良い機械の開発により牧草が乾燥され、良い状態で輸入されるようになった結果が現在の味の改良につながっている。 |