六稜NEWS-980510

    北野高校吹奏楽部
    第1回定期演奏会

    1998年5月10日
    14:00〜16:30
    ローズ文化ホール
    (豊中市庄内)

    reporter:谷 卓司(98期)


      今からちょうど5年前、母校創立120周年の折に産声をあげた吹奏楽部(当時は同好会として発足)が、今日、校外のホールで記念すべき第1回定期演奏会を開催した。創部以来、顧問の佐々木先生の多大なる指導のもとに目覚しい活動を続けていた吹奏楽部が正式に部として認められたのは、意外にも去年のことだという。

      週3日の練習、部員の不足、楽器の不足…で、他校に楽器を借用に行くなど、幾多の困難な状況にもめげず、出場する全日本コンクールでは決まって優秀賞を総なめにしてきた彗星のごとき吹奏楽部だけに「遂に…」の感慨が深い。


      14:00。300人強は入る客席は、すでに大入り満員状態で舞台とともに熱気のほどが窺える。オープニングはお馴染みのナンバー『ハリウッド万歳』で開演、演奏の背景にビデオプロジェクタを駆使した映像を投影するなど…非常に現代風でユニークな演出は心憎いばかりだ。

      続いて、学生指揮の硯川潤クンが曲づくりの苦心を述べた後、『ニューシネマ・パラダイス』を好演。「技術的な難易度はともかく、中間部の『愛のテーマ』をいかに表現するかが苦労の種であった。部員には全員にノーカット版のビデオを観て貰い…カット版ではダメなんです(笑)…曲想づくりに当たって貰った」という。なかなか、どうして…迫真の演奏であった。

      次には、顧問の岡本浩先生にバトンを渡し、ラテンのスタンダード『コパカパーナ』を演奏。5人の部員が楽器を置いて軽快なダンスを見せてくれる…など、目にも愉しい構成を披露してくれた。ちなみに、この岡本先生…社会科の先生ながら、学生時代はサックスで鳴らした強者というから心強い。ゴキゲンのノリで『フィール・ソー・グッド』へ突入。いささか緊張気味のクラリネット・ソロの女の子が印象的であった。

      そして、現在は大阪大学吹奏楽団でチューバを担当しているOBの藤原くん(107期?)より創部当時の経緯を振り返るコメントを戴いた後、佐々木先生の指揮で第1部を締めくくるオリジナル曲『二つの交響的断章』を演奏。この曲は7月の吹奏楽コンクールの課題曲でもあり、気合いの入る一曲である。なお、今年のコンクールには1年生の新入部員の急増もあって、これまでの「小編成の部」から「大編成の部・A組」への出場が濃厚だとか…。本番での好演も期待したいところ。


      第2部はベルギーの作曲家ヴァン・デル・ローストの『セレモニアル・マーチ』で開幕。まさに威風堂々たる名演を披露してくれた。続いて、ビデオを利用して日常の練習風景を部員2人がコメディタッチで紹介。和気あいあいたる様子に…なかには練習中に居眠りする部員の盗撮(?)もあったが…客席は笑いで渦巻いた。

      次にはドイツの巨匠ワーグナーのオペラ『ローエングリン』より『エルザ大聖堂への行列』に挑戦。荘厳な曲を吹奏楽用にうまくアレンジした名演に、沸いた客席もしんみりと聴き惚れていた。

      祝電の披露の後、最終の曲目、オッフェンバックの『パリの喜び』かと思いきや…突然、1〜2年生だけによる、3年生への感謝の曲『生涯の友』がインサートされ…何も聞かされていなかった3年生たちがステージ脇で見守るなか、ぎこちなさを見え隠れさせながらも泣かせる演奏を披露、心温まる瞬間となった。

      今年2月から演奏会を企画、練習以外にも初めての公演で何かと戸惑うことも多かったと思うが、50人の部員と若きOB・OG、顧問の先生らが一丸となって非常に愉しい2時間を与えてくれた。アンコールでは各パートに絶賛の喝采が送られ…来年の「第2回」がすでに待ち遠しい吹奏楽部・第1回定期演奏会…16:00定刻にその幕は閉じられた。


    Last Update : May.10,1998