1998年5月7日〜5月12日
10:00〜19:30(入場は19:00まで)
最終日は10:00〜16:00(入場は15:30まで)
大阪・なんば高島屋
グランドホール (7F)
reporter:菅 正徳(69期)、石田雅明(73期)、岸田知子(78期)、谷 卓司(98期)
既に、つくばと東京での公開を終え、この大阪の展覧会が今回の巡回展の最後になる。和太さん特有の、従来の陶芸のイメージを払拭した多彩な文様と独自のフォルムは、時代と共に限りない変容を見せ、それらが集まることで、和太ワールド…本人の言葉を借りると「磁場」…を作り出している。
「文様がまず頭に浮かぶ」と、和太さんは言う。「その文様を載せるものとして、次に器のフォルムができる」のだそうだ。従来の作陶とは土をこねて火で焼くという最小限の基本を共有するが、テクニックも造形もネーミングも独創であって、国際的に評価を得ているのもそういうところによるのであろう。
六稜人としては珍しい陶芸の道に歩んだ理由を和太さんは次のように語ってくれた。
「北野時代は60年安保のころで何となく落ち着かない状態だった。あるとき、親知らずが痛くなって行った歯医者で話をしていたら『君は美術方面に向いているのでは』と言われた。調べてみて京都美大というのがあるのを知った。そこに陶磁器専攻というのがあって、だれがこんな所に行くのだろうと好奇心で受けてみたら通ってしまった。」
このあたりにも、伝統陶芸とは一線を画する和太さんらしさがうかがえる。
和太さんは、日本の◯◯焼といったものより、何千年も昔の…20世紀を紀元前に折り返したくらい太古の…古代中国の陶器に衝撃を受けたという。現代的で理知的でありながら、その作風の中には原初的な郷愁が感じられるのもむべなることである。
会期が短いことが惜しまれるが、ぜひ会場に足を運んで、和太芸術に触れていただきたいと思う。