六稜NEWS-980308

    六稜「金鹿」きき酒会。

    reporters:石田雅明(73期)+岸田知子(78期)



      六稜人が集まってキキ酒をする…そんな趣向の面白い企画が去年からスタートした。会場は阪急西宮北口駅から南へ徒歩10分、「金鹿」の看板の上がった灘酒造。社長の植田伊織さんが73期、六稜史でも珍しい造り酒屋の一人である。

      昨日とはうって変わって好天に恵まれた3月8日(日)13時半。参加者は当初の予想では40名前後であろうと見込んでいたが、いざ蓋を開けてみると、なんと65名が参加。夫婦同伴者が去年に増して多かった。上は60期の大岩さんから、下は98期の谷さんまで…実に40歳近い世代格差の六稜人が大集合した。

      まず幕開けは「お酒のできるまで」の講義。なんといっても宮水の力が偉大だそうで、たとえば、越後あたりの軟水を使った酒は、出来たてが一番おいしく秋になると味が落ちてしまう。これを「秋だれ」というが、宮水を使った灘の酒は、荒馬のような新酒が秋になると柔らかく香りたつ美女に変身する。これを「秋晴れ」というのだそうだ。

      続いてNHKの連ドラ「甘辛しゃん」でもおなじみになった酒蔵の見学。参加者があまりに多くなったので、2班に分かれての見学となった。ベテラン杜氏、火置さんの解説で、ふだんは立ち入り禁止の仕込みの現場まで見せていただく。
      「これが何日目…」と次々に味見をさせてもらい、しぼりたての荒馬のようなキンキンした新酒をいただいて、もうすっかりいい気分。

      一方、残った第2班は先にメインのきき酒へと挑戦する。設問は、3つのアルコール度数を順番に並べるもの1題と、3つの甘辛度を並べるもの1題の計2題。これが結構、難しい。しつこく試していると酔いが先に回ってしまい「ああでもない、こうでもない」という嬌声が、ここそこでこだまする。

      いつしか酒蔵見学班ときき酒班が五月雨式に入れ代わって、いよいよ舞台は最後の「飲み放題」へと突入。お酒をたっぷり入れて煮込んだ絶品のおでん鍋を囲んで屋外大パーティーへともつれ込む。午下がりの冷たい外気にさらされながら飲む酒は、いくら飲んでも酔った気がしない。鍋も瓶もみるみる空になっていく。

      この日は北野高校から現職の加藤先生(85期)と、はるばる英国よりAET講師として来日中のJuhi先生も参加。賑やかなパーティーに一層の華を添えていただいた。

      そうして和やかな歓談のなか、きき酒の結果が発表された。ふつう全問正解は参加者全体の1割といわれるなかで、さすがは六稜…64人中18人が見事的中。やはり今年も女性の割合いが高かった。

      出るものすべてをすっかり平らげた16時半ごろ…菅正徳さん(69期)の音頭で全員が大きな輪となって校歌斉唱。舌がもつれたか記憶が定かでなかったか…最後の5番までは呂律が回りきらなかったが、さすがは復活応援団、初代団長…菅氏のエールで締めをくくり、肩を組んだ六稜人たちは来年の再開を約束しながら互いに喝采を送り合った。

      最後に、植田社長ご兄弟と従業員の方々に心から感謝をして散会。西宮北口駅までの道すがら、めっきり春めいて明るくなった夕暮れの日差しを背に、老若男女は手に手に景品のお酒をぶら下げながら、それぞれの帰途についたのであった。


    Last Update : Mar.11,1998