稲畑勝雄(56期)
六稜同窓会 会長
ご高承の通り、同氏は1970年からご父君精一氏の後継者として朝日新聞社主をつとめられる傍ら、京都国立博物館評議員、仏教美術研究上野記念財団理事として、二代にわたり仏教美術研究の助成や図書の充実などに尽くされました。
振り返ってみますと上野先輩とは大阪ロータリークラブのメンバーとして個人的におつき合いがあり、いろいろとご指導に預かって参りましたが、私が六稜同窓会の会務に関わるようになりましたのも、もとはといえば同氏のそ推挽…というよりはご命令によるものでありました。
そのとき理由として挙げられたのは「君の学年はなかなか纏まりがいいらしいから」という一点だけで、その任でないことを申し上げて固辞しましたが、結局は先輩・後輩の力関係…如何ともなしがたく、鴻池前会長のもとで副会長を仰せつかる羽目となりました。
確かに私の所属する56期には長年クラス会の世話をつづけて下さっている緒方正名君と今搬、東京六稜会会長に就任された大山利雄君のお二人が東西の要として活躍されていて、親睦の度は高く、私などはその麒尾に付してうろうろしているだけなのですが、そんなことは先刻ご承知で、学年として結束の良さを重視されたのはやはり上野先輩のご見識であったろ思います。
いつまでもご健在でご指導に預かりたいと念じていた希いももはや空しくなってしまいましたが、ここにあらためてご生前に賜わりましたご好誼を感謝し、いまは天に帰られました御霊の永久に安らけく憩われますことをお祈り申し上げて、追悼のことばといたします。