六稜news-100423
第63回日本推理作家協会賞/評論その他の部門
『英文学の地下水脈』小森健太朗さん@96期

一昨年、『探偵小説の論理学』で第8回本格ミステリ大賞(評論部門)を受賞した小森健太朗さん@96期。六稜news-080607でもお知らせした通りだが、今年は『英文学の地下水脈』で第63回日本推理作家協会賞(評論その他の部門)の受賞が決まった。

選考会が4月23日(15:00〜)に東京・新橋の新橋第一ホテル東京で行われ、賞金は50万円。贈呈式は同じ会場で5月31日(18:00〜)。

『英文学の地下水脈』は、副題に「古典ミステリ研究〜黒岩涙香翻案原典からクイーンまで」とあるように、英文学史上、後世に多大な影響を与えたT古典U=『不思議の国のアリス』(ちょうど今年、話題のディズニー映画(ティム・バートン監督)が封切られているが、これまでにも世界で何度も映像化が試みられてきた名作中の名作である)における、一人称の主体の解体と構築を論じた「ルイス・キャロル論」から始まり、エラリー・クイーン、ディクスン・カー、ヴァン・ダインなど黄金期の諸作家の論考、さらにはヒュー・コンウェーやメアリ・ブラッドン、ファーガス・ヒュームなど知る人ぞ知る作家に光をあてた長年の研究を網羅する、著者入魂の一冊といえる。

【小森健太朗】16歳の北野在校時(高1)に書いた『ローウェル城の密室』が、江戸川乱歩賞の最年少最終候補に残るなど、早くからその才能を予感させていた作家で、東大文学部に進み、大学院博士課程を修了。1994年に『コミケ殺人事件』で文壇デビューを果たした。代表作に『ネヌウェンラーの密室』(講談社)、『マヤ終末予言「夢見」の密室』(祥伝社)、『グルジェフの残影』(文藝春秋)、『星野君江の事件簿』(南雲堂)など。翻訳書にはミハイル・ナイーミ『ミルダッドの書』(壮神社)や、コリン・ウィルソン『スパイダー・ワールド』(講談社)ほか、多数。
公式Web「大きなお茶屋さん」主宰。


Last Update: Apr.26,2010