六稜NEWS-091219
89期でプチ同窓会
▲89期でプチ同窓会
六稜トークリレーDX【第71回】
「キャリアアップ人生2」岩田松雄さん@89期

reporter:橋本 淳さん@89期

89期3年5組の同級生の岩田松雄君の登場ということで、万難を排してトークリレー初聴講いたしました。とてもよいお話が聴けましたので、参加できませんでした方にも少しその雰囲気が伝わればと思います。内容は私が聴き理解した範囲のことですので、一部勘違いもあるかもしれませんが、私の眼と耳を通した内容で紹介いたします。

坂平さん
【はじまり】
初めに同じ89期の野球部ピッチャーでありました坂平秀雄君から、野球部レフトでキャプテンをしていました岩田君がどんな学生であったかの紹介がされました。これがとても心温まる名紹介で、ほのぼのとした感じで会がスタートいたしました。坂平君の紹介によりますと、岩田君は「レフト!おーいなにしとんねん!」という感じで野球の時は決して頼りになるプレーヤーではなかったけれども、持ち前のキャプテン魂を発揮して低迷していた北野の野球部を7年ぶりに1回戦突破させ4回戦までいけたとのこと。社会人での成功にこの素晴らしいキャプテン魂が発揮されたのでしょうが、言うことのきかん部員が多かった北野高校野球部での経験がきっと役に立っているはずなので、ちょっとはわれわれにも感謝してもらわなあかんというメッセージがレフト岩田君に投げられました。
 続いて、岩田君が登場し、学生時代と変わらないほのぼのとしたしゃべり方で、講演がはじまりました。今までいろんな会社で働いてきたけれども、北野の野球部のキャプテンの時が一番つらかった、中間管理職みたいなもので下はいうこと聞いてくれへんし、上からは怒られるし、いい経験をさせてもらったというとのことです。またいろんな刺激のあった北野高校を出たことをとても誇りに思っていると話され、聴講者みんながまたそれを誇りに感じる雰囲気でスタートいたしました。「レフト!おーいなにしとんねん!」ではない坂平君と岩田君の絶妙なファインプレイでした。
当時の野球部(89期卒業アルバムより)
▲当時の野球部(89期卒業アルバムより)
【経歴自己紹介】
次に、社会人スタートからスターバックスで7社目までの経歴が自己紹介されました。大阪大学卒業後日産自動車入社、入社初期の輝かしい社長賞、その後の閑職、社内留学制度を利用したUCLAアンダーソンビジネススクール2年間でのMBAの取得、ここでの経験で一気に視野が拡大しturning pointとなり、その後コンサルタント会社、日本コカ・コーラ、アトラス社長、タカラ常務、ザ・ボディショップCEO 、スターバックスコーヒージャパンCEOとなり現在に至っています。
 コンサルタント会社では「24時間働けますか」のような仕事ぶり、それをしても決定権のあるクライアントによっては必ずしも会社は救えない無力感、コカ・コーラでは目標設定(世界でコカコーラが一位でない国を0にする)の大切さ、様々な英語圏人種のなかでの勤務でのグラスシーリングの経験、アトラスでは経済のことは全く関知しない独特のゲーム開発者たちの鼓舞、目標設定を行った組織作りによる成功、ボディショップでは売上60億の低迷から150億円を旗印に掲げて3年で目標達成に至った大躍進、社会貢献の理念の重要性(アニータ・ロディックから学んだのだと思います)など、様々な会社や出会った人から学んだことや、苦しんだことや、成功したことが、なんの気負いもなく本当にさらりさらりと紹介されていきました。
『スターバックス成功物語』
▲『スターバックス成功物語』の原著
 そのような中で、自分の方向性を失わない一徹さと厳しさが垣間見れる瞬間もあり、それゆえに凄さを感じるとともに不易流行の生き方の見本のように感じました。ザ・ボディショップでの成功ののち、さらに次の目標に向かい現在のスターバックスCEOを選んだきっかけの一つに、「スターバックス成功物語を読んで自分はこれだと思った、ひとを大切にする会社であった」ことを紹介されました。岩田君らしさを感じると同時に、徹底した社会貢献を目指した企業観を実践し、さらに継続的に発展させようとしている姿に、大きな力をもらったような気がいたしました。
 最後に岩田君が良く聞かれる質問に「成功の秘訣は?」というのがありそれに対しては「高い目標をたてたこと」と答えていますとのことです。日産入社時の新人あいさつの際にも「日産の社長になります」とあいさつしたとのことです。高い目標がないことには、結果もないということで、大変説得性のある言葉でした。

【スターバックスの紹介】
銀座松屋通り店(日本1号店/1996年8月2日)
▲銀座松屋通り店(日本1号店/1996年8月2日)
スターバックスイメージビデオを用いて岩田君がCEOとなりましたスターバックスが紹介されました。1971年シアトルの市場に創業されたコーヒー豆の卸であったのを、NYで家庭用品セールスマンから転身してシアトルでエスプレッソを飲ませるコーヒーショップを興していたハワードシュルツが買い取り1984年エスプレッソを売るスタバとしてスタートし発展してきたとのことで、シアトルの1号店も映し出されました。以前学会出張時に市場の道向かいのこのスタバ1号店を訪れていましたので、とても親近観が持てました。
 スタバのミッションステイトメントには最初に「お互い尊敬と威厳を持って接し働きやすい環境をつくる」ということが挙げられており、人を大切にし、思いやるこことのカルチャーが強い会社であることが紹介されました。スタバの考え方としては「私たちは人々のおなかを満たしているのではなく、心を満たしているのである。パートナーの笑顔、ホスピタリティー、よい環境を売っている。」というようなことが紹介されました。
 子供が本を読んだり、スケートボードの若者が休憩したり、ビジネスマンが仕事をしたり、学生が勉強したり、家族がくつろいだり、様々な場面がスタバで営まれています。「ボブ、今日もトールラテにするかい?」というような会話が交わされながら、マネージャーはお得意客の好みを把握しながらコーヒーでのくつろぎを提供していきます。私の勤める病院内にもスタバがあり、私の患者さんもよくくつろいでいます。私も時々カフェモカを買いに行きますが「やあ、ジュン、今日もカフェモカにするかい?」といわれるほどには達しておりません。
淡路SA店から明石海峡大橋を望む
▲淡路SA店から明石海峡大橋を望む
 またスタバの考えとして、自宅でもオフィスでもない場所でうるおいを与えるサードスペースを提供するという考えがあるそうです。そのサードスペースはパートナーの笑顔、おいしいコーヒー、素敵な空間の3つ要素をもつもので、景色のよい広々とした人通りのない公園の真ん中にスタバを開店したりするのもその考えの実践で、そうすると景色や環境を楽しみながらコーヒーを味わいくつろぐために人も集まってくるというものです。人通りのよいところに開店するというのとは全く違うサービスのありようで大変感心させられました。明石海峡大橋のところにも出来たそうですので、気になる方は行ってみてください。さらにいくつもの面白い企業文化を紹介してくれましたので、列挙します。
最後に岩田君オリジナルのビジョンとして紹介されましたことは、
・Sustainable growth(安定成長)
・Market Innovation(革新性を持ってマーケットをリードする)
・Center of excellence(世界一を目指す)
を実践して、100年後も光輝くブランドを目指す。日本のスターバックスが世界一だといわれるようにという気概を持ってやっていく。
ということです。ぜひ、みんなで応援したいと思うと同時に、同じ50歳(あるいは51歳)の同級生みんな頑張らねばと思わされたとてもよい会でした。

注:スターバックスのところは、二次会で岩田君に推薦図書として教えていただいた『スターバックスを世界一にするために 守り続けてきた大切な原則』ハワード・ビーハー著(日本経済新聞出版社)を読みつつ思い出して書いています。

Last Update: Mar.2,2010