六稜NEWS-091003
▲リハーサルの様子
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六稜トークリレー【第69回】
「チェロと建築〜わたしのルーツ、北野」飯田精三さん@79期
reporter:河渕清子さん@64期
秋晴れの爽やかな午後、現役オケ部の演奏と120周年「第九」のステージを共にした首席チェリストのお話が聴けるのが楽しみで六稜会館ホールに歩を運んだ。
先ずオープニングに予想どおり相変わらずフレッシュな演奏と礼儀正しいオケ部現役生に触れることが出来て嬉しい。演奏曲目はドヴォルザーク「スラブ舞曲第1番」と久石譲の「アシタカ聶記」(映画『もののけ姫』エンディングテーマの2曲を熱演。指揮はどちらもアタマ良さそうでキリッとした男子2年生。チェロの後方席には、なんと本日の講師「飯田精三」さんも。演奏終了後、オーケストラ部員が楽器を手に退場後、会場はいつものTR会場に模様変え。トークリレー本番が始まった。
講演タイトルを見た時から、私は音楽と建築との相関性を色々例にあげての堅いお話が始まるものだと構えていたから、こんなに楽しいお話を聞けるなんて思ってもいなかった…というほど面白かった。
先ず、北野オーケストラ部絶滅の危機を乗り越えた思い出話からお話は始まり、当時の北野の校風ともいうべき「自由」を「ささやかな抵抗」と題して「実力テスト、エスケープ、早弁、コンパ、女子だけの修学旅行、歌声喫茶、など」ほぼ同世代?の私たちには思い出が蘇りとても懐かしかった。
講師のご尊父(39期)を初めご親族に北野生の多いのを得々として語られるかと思えば、六稜人に著名音楽家の多いことを名前・期・肩書をあげて列挙、また北野の名物先生の写真をスクリーンに映して当てさすなど、時折聞こえる笑いの渦で場内は北野一色のなごやかムードに。
そうこうするうち、休憩タイム。「BGMと思って聴きながらお茶とお菓子をどうぞ」と飯田さんのチェロ演奏が始まったのだ。予想もしてなかっただけに「儲けた!」って感じ(笑)。電子ピアノしか置いてくれないホールだ!!チェリストも伴奏者もお気の毒というしかない。何年か前に「グランドピアノを置きましょう運動」も何故か却下されて以来、幾度となく不便を感じ恥をかいてきたのだ。何とかならないものか。再度お願い致します。
にこやかに楽しげに水を得た魚の如くチェロの演奏が始まった。1曲だけかと思いきや次々と5曲も!(エルガー「朝の挨拶」サンサース「白鳥」フォーレ「夢のあとに?」カザルス「鳥の歌」ラフマニノフ「言葉のない歌」)おまけに「音楽にはアンコールがつきものなので」と最後の曲は「トロイメライ」で終了。うっとり気分でもうこのまま帰りたくなった(笑)。
▲再建された池田付属小
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休憩後もまだ続くチェロのお話も、とても興味深かった。北野、音楽、と来て建築のお話はいつ始まるのかなぁと思ってたら飯田さん「建築の話もせなあかんので…」とぽつりぽつりと「建築」のお話が始まった。公共建造物はこうあるべき、少なくとも一目見て何か分かる要素が必要であると。六稜会館の出来栄えは、建築家飯田氏の目には必ずしも合格点ではなかったようだ。あえて明言を避けて通る飯田さん、後輩への気遣いと建築家同士の礼儀だったのだろう。ご尊父の後を継ぎ、現在は共同設計代表取締役社長の飯田さんが関わったプロジェクト、「池附小の校舎再建」や近江八幡市の葬祭場「さざなみき浄苑」などの映写による分かりやすい説明もあった。
最後に試験期間中にも拘わらず、熱心に聴講し演奏も聴いてくれた多数のオケ部員生に「勉強頑張って京大オケへ入って下さい」の励ましを送るなどあった後、恒例の全員記念撮影になった。総勢何人だったのだろうか?近頃希に見る大盛況のうちお開きとなった。私はあつかましく、飯田さんと名刺交換して少しだけお話できたのが嬉しい。名刺はご本業の共同設計の名刺だった。モーツァルトサロンとか、モーツァルティアーナとかアンサンブルルペガースとかの名刺が頂けたらもっと嬉しかったのに。
Last Update: Oct.4,2009