六稜news-080802
六稜トークリレー【第55回】
「北野の暗黒時代〜戦火をくぐった精神遍歴」三島佑一さん@60期
reporter:西 絢香@成安造形大4回生(京都市立銅駝美術工芸高出身)
戦争とは、凄惨で恐ろしく二度と繰り返してはいけないことだ、と何度となく聞かされてきたが、それを想像したところであまりに現実感がなく別世界で起こっていたことのように感じていた。
今回の講演で興味深かったのは戦争そのものではなく戦争下における精神遍歴を語られた事である。事実と感情については度々語られるが精神について話を伺う機会というのは実はあまりないのではと思う。
現在では考えにくい「絶対服従」などといった指導が、当時あたり前に行われていたという事実は知っていたが、終戦と共にその指導はすんなり自然となくなったのだと思っていた。
しかし自由主義を受け入れる事への、日本人としての抵抗や疑問などを抱かれていたのだという事を知り、この日本で間違いなく戦争は行われ、そして戦時中の精神や想いは今も確かに「日本らしさ」として認識され存在しているのだという事に気付かされた。
今でこそ自由主義、個人主義は当たり前のように認識されているが、当時の日本でこの考え方は、それまでの「お国のために」という考え方とはなにもかもが違っており、受け入れがたいものだったに違いない。
もうひとつ。どうしてもこれから忘れられそうにないだろうエピソードとして、墜落死した米兵に恨みをぶつけた少年に対し「死んだら仏様になるのだから(そんな罰当たりな事をしたらアカン)」と叱責したという父親の話。日本人だからこそなのかは解り兼ねるが、戦争には本当に沢山の人が関わり、それぞれに思うことが確かにあったのだということに改めて気付かされた思いがした。
Last Update: Aug.3,2008