六稜NEWS-080728

なにわことばのつどい2008

reporter:則松照也@58期

7月28日(ナニハの日)、ホテルコムズ大阪で開催された『なにわことばのつどい』に参加しました。

総会とは知らずに行ったので、型どおりの議事の進行に付き合うのは大変だなと思っていましたが終始和やかな雰囲気で進行して、いつのまにやら新役員さんも決まって、主題の『もう使てま編なァ懐かしの大阪弁』に入っていました。
50音に合わせて大阪べんを披露していくのですが、日ごろから温めていたと思われる大阪べんがあちらこちらから活発にとび出して整理がたいへんという感じでした。殆どが「広辞苑」に載っているような古い言葉や、元は標準的なものが助詞や動詞、助動詞の使い方で、方言のように思われてきたものが多く、独特の言い回しが大阪弁の特徴にもなっているように思いました。当日出たことばの幾つかを挙げてみます。

  例   あくそもくそ(人のこまごました欠点)
      かけちがいまして(久しく会わない時のあいさつ、行き違い)
      くんじゅ(群集の訛、平家物語(1)「軒騎群集クンジュして門前市をなす」)
      ぬけそけ(エスケープ、浄、仮名手本忠臣蔵「どうでこの内をーーするのかして」)
      ぶいな子(おとなしい子、漢字で無異な子)
      まぞう(償う、まどう)

もう一つ大阪弁でおもしろいのは、しゃれ言葉ではないでしょうか。当日も幾つかでていました。

  例   権兵衛蒟蒻(しんどが利、一文の利益にもならないこと)
       高野山(便所のこと、厠コウヤの洒落、仏門では髪(紙)を落とすことから高野山)
       雪隠(せっちんまたは、せんち、便所)
       雪隠場の洪水(せんちばのこうずい、井戸端会議)
       他に雪隠場の火事、白犬のおいど、というのもあり。


明治以降、日本では学校教育の中で標準語をおし進めて方言を排する政策がとられ、方言を話す者が劣等感をもつようになったといわれています。最近のテレビ、ラジオなどの普及が、方言の衰退に拍車をかけているかも知れません。大阪出身らしい女子アナが、大阪弁に戻るのが恐くて親にも殆ど電話しないとテレビで言っているのを聞いて、何か可哀そうな気がしました。因みに私の孫は、東京の女子高に通っていますが、両親が大阪出身なので、学校では東京弁、家では大阪弁と使い分けているらしく、自分で「日本語のバイリンガルや」と言っています。


世話人のおひとり
中井正明さん(64期)
日本では、政治の中心地以外の方言が書き言葉に用いられることは少なく、現代日本人が古文として知っている『源氏物語』『枕草子』などの文章は、当時、政治文化の中心であった近畿地方の方言で書かれていろことを忘れてはならないと思います。

『なにわことばのつどい』に集まった人たちは、こよなく大阪弁を愛する人たちのようで、古い大阪弁を使って過ごした少年、少女の頃を懐かしんだり、ほろ苦い青春の思い出に浸ったりという感じでした。きょうのつどいは、格式ばらず大阪らしく、まったり、ゆったりの会でした。

last update : Aug.4,2008