六稜NEWS-070414
六稜トークリレー【第40回】
「手塚治虫と通年動員〜大阪石綿を共に」金津博直さん@59期

reporter:朝田夏美(大阪成蹊女子高等学校2年)

 
 
 
 
 桜も散りはじめた4月、私は同じ中学校出身の友人数名と共に初めて六稜会館へ足を踏み入れました。私たちは昨年の夏頃から豊中市制70周年記念事業「紙のピアノ」というミュージカルを通して『豊中空襲』と『学徒動員』について調べていました。その過程で知り合ったNさんに「北野高校でこんな話があるよ」とトークリレーに誘っていただき、喜んで北野高校へと向かいました。

「1人の作家について知りたければラフ画やラクガキといったものを見る。」

美術系の高校へ通う私はあの巨匠手塚治虫氏の作品を生で、それもあの量を一度に閲覧できたことはとても貴重な体験でした。 『素晴らしい作品はラフなスケッチやラクガキの方がその人の内面まで知ることができる』と、教えられている身としてはさわりだけだったかもしれませんが、手塚氏の経験してきたこと、人生の重みが絵につめこまれているようで一枚一枚の絵に説得力が感じられました。

金津さんのお話で私にとって漫画の神様だった手塚氏は1人の人間になりました。
彼も金津さんと同じ時代を生きて、同じように遊んで、同じように働いて、そして訓練をサボっていた……(!)
彼と同期の方が何人かいらっしゃったからかもしれないですが、手塚氏の少年時代が浮かんでくるようでした。

トークリレーが終わり、六稜会館の1階に展示されていた手塚氏の漫画の原画やイラストをもう一度見ました。
彼の少年時代に触れて『紙の砦』を作るにあたった経緯と背景が心に流れ込み、今まで見ていたモノクロの漫画が写真のように鮮やかに感じました。
私が生まれる前の、全く知らない時代を生きた仲間同士というのでしょうか、懐かしそうに話す方々の姿がとても印象的でした。
今回、他校からですが参加させていただいて、とても有意義な時間をすごすことができました。
私にとってこの日感じたことは、これから作品を制作するにあたって重要な意味を持つでしょう、ありがとうございました。


Last Update: Apr.19,2007