六稜NEWS-070116
ワンコイン・コンサート
「高木和弘〜疾走するヴァイオリン」
reporter:河渕清子(64期)
▲母校でオーケストラ部を指導・共演する高木さん
(2006年10月14日)
今や彼のお得意となったトークを交えてたった1時間余の演奏会だったが、2000席もある兵庫県立芸術文化センター大ホールを殆ど埋め尽くし、高木和弘人気は益々上昇中。先行予約で辛うじてチケットをゲットした私は4階席の最後列(でも中央)席だったが、音響効果のいい当ホールではそのハンディもなく演奏を楽しむことが出来た。
開演と同時に場内・ステージ真っ暗闇となり、10秒後?ステージのやや左前方の円形のスポツトライトの中でいきなりパガニーニを弾き出した彼が居た。パガニーニ24の奇想曲第5番。
全5曲の小品の演奏だったが、4番目に弾いたパガニーニ奇想曲第24番でも前曲の演奏が終わるやいなやいきなり弾きだす。 パガニーニのときはそうなんだ、幕開きの演出といい、彼の得意とする曲の演出といい、演出効果は満点。
「僕はこういうのが好きなんですよ」とトークに挟むひとこまもあって満場を沸かせていた。
初めて聴いたショーソンの「詩曲」はピアノとの共演。演奏前に曲の紹介付きだったが、ツルゲーネフの小説から作曲されただけあってドラマティックな曲でおもしろい。 元の小説に登場する男女の名前まですらすら織り込んで淀みなく解説。きっと原作を読んで曲想を練ったのだろう。「冬ソナ」のストーリーと対比させたりでここでも聴客を和ませたり(笑)。
「この人しか居ない」と高木和弘氏の云う何時もの伴奏者松村英臣氏のピアノも素晴らしい。息ぴったりのお2人で、ワンコインコンサートではもったいない演奏会だった。クラシックをナマで聴いてその魅力を伝えたいと云うヴァイオリニスト高木和弘さん。その思いが、彼のソフトで軽妙なトークを通じても伝わってくる。ハワイへ行ったときウクレレでパガニーニの24番のメロディが流れてきてびっくりしたそうだが、今日の演奏でもウクレレの感じをちょっと取り入れて…と微笑む高木くん、ホントかな?(笑)
クラシックは堅苦しいものじゃなく楽しいものであることを伝えたかったのであろう。
アーティストとしては勿論、同窓生としても今後も益々の演奏活動を期待、応援している。
【演奏曲目】
・パガニーニ24の奇想曲第5番
・ショーソン「詩曲」
・サンサーンス「ワルツ・カプリス」
・パガニーニ奇想曲第24番
・ワックスマン「カルメン・ファンタジー」
※アンコール曲はエルガー「愛の挨拶」。往年の大ヴァイオリニスト、ヤッシャ・ハイフェッツに贈られた曲ということを、彼のトークで初めて知りました。
Last Update: Jan.22,2007