香取由夏ピアノリサイタル リサイタルを終えて greeting:香取由夏(109期) この度は、多くの方々に励まされ、温かい会場の雰囲気に包まれて無事日本での初めてのリサイタルを終了することができました。お忙しい中お越し頂きました皆様には、心より御礼申し上げます。 今回、7月26日に帰国して28日に早速、北野高校で公開リハーサルという形で音楽科の佐々木先生のご協力を得て本番どおり演奏させていただきましたが、その日は60%以下の出来で間に合うかどうかかなり不安でした。曲目は6月のウィーン音大の試験でも弾いていたし、特に後半のシューマンは思い入れのある曲で3年前からレパートリーでウィーンでは何度も弾いていたので、あらためて新しいことを覚えたり練習したりという心配はなかったのですが、ヨーロッパから日本という、急に生活環境が変わる中で集中力や音を聴くこと、感情を深いところで感じる、表現する、といった根本的なところの調整に帰国してからは神経を使っていました。 演奏家というのは結局最後は自分を信じて音を通して人の心に伝えなければいけないと思っています。その伝える段階で正しく体を使ったり、さまざまなテクニックを組み合わせて響きを作ったり、構成を考えたり…とすることは山ほどあるのですが、一番大切なのは、やはりさまざまな感情を受け止め感じる、あるいは真実を探そうとする心だと思います。 日本にいるときはそういったことに鈍感で、日常の中で通過していっていましたが、ウィーンで音楽に真剣に向き合い素晴らしい才能ある音楽家たちに出会って、強くそのように感じるようになりました。9月下旬にはウィーンに戻り、まだしばらくウィーンでの生活が続くので、さらに真剣に勉強して少しずつ経験も積んで一日一日大切に過ごしていこうと思っています。 ありがとうございました。 |