六稜NEWS-060702
モーツァルト室内管弦楽団/第117回定期演奏会
於:いずみホ-ル
reporter:河渕清子(64期)
5月の定期演奏会に継ぐ第117回目の定演は、4つの協奏曲という曲立てで、フルート、ハープ、ピアノ、ヴァイオリンほか10人のソリストと共演の豪華版だった。
的確なテンポ、明快なリズム、清澄なサウンドで何時も快い音楽を贈ってくれるモーツァルト室内管弦楽団の指揮者、門良一氏(70期)のモーツァルトへの想いは、この日の演奏でも尽きることなく彼の脳裏に潜んでいたのではないだろうか。
1曲目に「フルートとハープ」2曲目に「オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴット」3曲目に「2台のピアノ」4曲目に「ヴァイオリンとビオラ」が夫々登場する。開演直前に席についた私はパンフレットに目を通す間もなく「フルートとハープのための協奏曲」が始まり、フルート氏の音色の美しさに先ず心が奪われた。そして甘く可憐で美しいメロデイがハープ奏者(女性)との息もびったりな演奏の交錯。ハープといえば何時もなら交響楽団の片隅でボロボロボロロ〜ンと鳴らしているのを聴いて「あ、ハープが入った」と感じるのに、この曲ではフルート奏者と2人が主役、出ずっぱり、当然一番前に並んでの演奏だ。息もぴったりだしスゴイ演奏だなぁと思って休憩時間にパンフを見たら、やっぱりスゴイ肩書きのお2人だった。
次に興味を惹いた3曲目「2台のピアノのための協奏曲」では、黒を基調で流れる波紋のような同じ柄(デザイン違い)のドレスを着けた母・娘(と思う)の共演だった。技巧的にも音楽的にも力量あるお2人のピアノは第二楽章のしっとりさ、愛らしさも、フイナーレの快活さもモーツァルトの曲を表現するには充分だった。
最後の「ヴァイオリンとビオラのための協奏交響曲」では、2つの楽器の対話がドラマテッィックで、甘く美しいメロディが交互に行き交う中、華やかさの中に一抹の哀感が漂っているようで涙が出そうになった。やはり「名曲」なんだ。ヴァイオリン奏者(女性)とビオラ奏者(男性)が同姓なのは…ご夫婦か?ご兄妹か?ここでもお2人の呼吸を合わせた奏法で曲をロマンティシズムの極地に招いたようだ。モーツァルトの曲でも深みが有り多様性に富んだこの曲は今後も印象深い曲として私の胸の裡に残ることだろう。
会場は2Fバルコニー席まで埋め尽くすほどの大盛況だった。み〜んなこの日の演奏を聴いてきっと感動して帰ったことだろう。指揮者と管弦楽団、そしてソリストの皆様。いい音楽をありがとうございました。モーツァルトは偉大!『音楽』って素晴らしい!
Last Update : Jul.12,2006