六稜トークリレー【第31回】 「250年のモーツァルト」門 良一さん(70期) reporter:作山倫子(88期) 6月3日、楽しみにしていた門良一先生の六稜トークリレーに参加しました。大好きなクラシック音楽についてお話が聞けるのです。しかも、テーマは今年生誕250年ということで話題になっているモーツァルトです。また、門先生のプロフィールを拝見すると、京都大学をご卒業、同大学院を修了され、その後大学の先生として「電波分光学」というえらく難しそうな分野の博士であられる傍ら、「モーツァルト室内管弦楽団」を創立されたとあります。ご研究とモーツァルトとはまるで両極端のように思われますが、音楽家には理系の人が多いとも聞きます。とにかく音楽好きにとって羨ましいご経歴であり、なんとすごい先輩がおられるのだと、是非ともお話を聞きたいという思いでした。 さて、ご講演は、数々の肖像画や手紙とともに、モーツァルトという人物についてのお話から始まりました。私はクラシック大好きとはいえ実は知らない事だらけです。モーツァルトというと思い出すのはあの映画「アマデウス」のハチャメチャなモーツァルト、そして浪費家の奥さんです。今回もそのようなお話が飛び出すのかと思いきや全く違いました。モーツァルトはもっと真面目だった。そうでなければあのような素晴らしい音楽は作れない。なるほどという思いです。 次は、モーツァルトの音楽についてです。モーツァルトは36年足らずという短い生涯であったにもかかわらず、最後のK626の「レクイエム」まで膨大な量の傑作を残しました。長いオペラも1曲として数えられているので実際はもっと多かったそうです。ジャンルも多岐にわたります。特に興味深かったのは、モーツァルトの音楽ってパクリだったの?というお話です。最後の10年間は、2大H(ヘンデルとハイドン)との格闘であったとのこと。2大Hの様式を模倣し、そしてそれらを混ぜ合わせてより完璧なものに仕上げる名人、そこにモーツァルトの天才の本質があるのだそうです。また、意外に思ったことは、モーツァルトはロマン派だったのか?ということです。CDをお聴かせくださいましたが、ピアノ協奏曲20番、24番等の失望感溢れる短調の曲は、ベートーヴェンを飛び越えてロマン派の域に達しているのだそうです。改めてモーツァルトの偉大さに感動しました。 また、日本人とモーツァルトのお話の中では、最近の癒しブームについて触れられました。私など「癒しのモーツァルト」、「モーツァルトセラピー」などと聞かされるとすぐにその気になってしまうのですが、全くそれらは無責任な話であり、科学でもなんでもないとのことです。博士であられる先生のお言葉ですから説得力があります。 最後にオペラ「イドメネオ」のビデオを見せていただきました。この1月に先生が指揮をされ上演されたものです。「イドメネオ」は初めて聴きましたが、大変素晴らしい演奏で、時間の関係で一部しか聴かせていただけなかったのが残念でなりません。私は今までBGMとしてお気楽にしかモーツァルトを聴いていませんでした。それはそれで一つの方法かもしれませんが、あまりにも完璧すぎて後継者ができなかったというこのモーツァルトの音楽を、今後はもう少し掘り下げてじっくり聴いてみようと、ちょっぴり進歩した一日でありました。 門先生、本当にありがとうございました。次回は、ぜひ一観客としてコンサートホールでタクトを振られるお姿を拝見したいと願っております。 |