六稜NEWS-060603
    講演する門さん 六稜トークリレー【第31回】
    「250年のモーツァルト」門 良一さん(70期)

    reporter:河渕清子(64期)
    250年前に生まれ36歳でこの世を去ったモーツァルトだが、今もなおモーツァルトは人々の心に温かく生きている。明快で清潔なリズムと和音、可憐で美しくそしてロマン溢れる旋律には誰もがうっとりと耳を傾けることだろう。門先生のお話は演奏会で演奏曲の解説をされるのしか聞いたことがなかったので、今回のトークリレーでは「モーツァルト」への思いのたけを熱っぽく楽しそうに語られていて、モーツァルトファンならずも音楽ファンの心に沁み込んで行ったに違いない貴重な講演だった。

    お話は、先ずモーツァルトの肖像画から受けるモーツァルトの印象から始まった。「この世の人とは思えない顔」とか「現実感が無い顔」と言われる根拠も、門先生は「モーツァルトは神様ではないかと思う」のお言葉でその意味が全て語り尽くされている気がする。

    続いてモーツァルトの家族のお話の中では、父親が偉大なステージパパであったこと、悪妻のイメージしかなかった妻のコンスタンツェが最近になって良妻だったと云われてることなどを面白そうに語られていた。また、モーツァルトの性格分析を彼の音楽を通して語られ、気分が変わりやすいようだが基本的には真面目な人だったのではないか?と結ばれた。

    いよいよ、一番私が聞きたかった「モーツァルトの音楽」についてのお話である。

    彼の環境に伴う作品の変遷。それに続いての作曲哲学ではモーツァルトはどんな種類・形式の音楽でも、巧みに採用・模倣が出来る「究極の職人芸術家」と評され、その作風をピアノ協奏曲20番24番、交響曲40番(最終楽章)などに例をあげて解説され、モーツァルトは古典派というよりロマン派であること。その完璧過ぎる作風には哀愁感が漂っていて男のロマンとでも云おうか、その後姿にはそこはかとないロマンを感じて素晴らしい。

    また「偉大なメロディメーカー」「ハーモニー進行の妙」は天賦の才であろうし、音楽の流れの自然さや楽器の使い方、声の使い方の合理性も後を継げる者はほかには居ないだろうなどなど。

    最後に、世界初オリジナルノーカット上演で絶賛を博した「イドメネオ」のビデオ放映があった。初めて聴いた曲だったが、意気のこもった名演奏を会場の皆さんと愉しんでるうちに、時間切れとなり続けて聴けなかったのが心残りだった。

    最後になりましたが、モーツアルト生誕250年記念にふさわしい楽しいお話と音楽を聴かせて頂いた門良一先生に心よりお礼申し上げます。7月のいずみホール、私の好きな協奏曲の演奏を楽しみにしています。
    参加者の様子

    Last Update: Jun.7,2006