| |||
Coro Speranza 第1回演奏会 reporter:浦野友美 定時になり、メンバーの方々が入場。皆さんドレスアップされていてとても綺麗だった。女性8名、男性4名。緊張した面持ちで譜面台の前に立った。と、その時、メンバーの中に父親の姿を見付けたのだろう。幼子が「パパ!パパ!」と呼んだ。それまで緊張感が漂っていたホール内に穏やかな空気が流れ、メンバーの方々の顔もほころんだ。そして、いよいよ演奏が始まった。 第1ステージはイギリス民謡が4曲。パンフレットの文章を引用すると“民謡の成立したと思われるエリザベス朝の頃は20世紀と共にイギリスの音楽が最も輝いた時代であり…(中略)…最もイギリス独自の音楽をみることができるジャンルであろう。”聴いたことのない歌ばかりで面白かった。 第2ステージはモンテヴェルディの『マドリガーレ第4集』より6曲。モンテヴェルディは「バロックの扉を自ら切り開いた張本人」とのことだった。歌い始めた瞬間「上手い」と感じた。お互いの声に合わせようとし、とても良いバランスで声が溶け合っていた。どのように歌いたいのか、観客側に伝わってくる演奏だった。 休憩を挟み第3ステージはブラームスの『Liebeslieder Op.52』の18曲だった。「ブラームスはもっともドイツ人らしい気質を備えた作品を世に送りだした一人」と言われる。男女のソロもあり、変化のあるステージ構成だった。ソロの方は流石に堂々としたもので、とても伸びやかな声だった。 全体的に声量が豊かで、個人のレベルが高い演奏だった。多くの練習を重ねられたことが感じられた。顔の表情や動きなども素敵で、好感が持てた。また、一人一人の前に1台ずつ譜面台が置いてあった。歌う時に腕や肩に力を抜くことを考えると楽譜は持つのではなく、このように譜面台に置くことが望ましい。ただ費用面などの問題から、多くの合唱団は楽譜を手持ちにするが、この団は違った。歌に対するこだわりを感じた。 今回は偶然海外の愛の歌ばかりだったが、同じ愛の歌でも様々な曲があり、とても楽しい一時だった。素晴らしい出来の演奏会であった。次回、また機会があれば聴きに行かれることをお勧めする。
|