reporter:奥田和夫(58期)
「10月26日は、奥田先輩のお芝居の次の日だから、絶対聴きに来てよね!」と言われ、北岡 樹さん(80期・本名=北方志津子)の大阪ブルーノートでのリサイタルに、前日ルナホールで共演した独身の女優と一緒に出かけた。
夜の部、予想通り満席。北岡さんのいつも歌っているアートクラブ、べコーでの常連、大阪プロバスクラブのメンバー達、六稜80期、58期の友達、多くの知り合いに出会った。皆、彼女のファンなのである。夜のしじまに、想い出の曲に抱かれて、「アマポーラ(Amapola)」から、彼女の歌声は始まった。
長年、聴いているが、この1〜2年円熟の域に達してきたように思う。人間国宝、鶴賀若狭掾の直弟子となり、新内の勉強をした事が、彼女の艶やかな声を、更に深みを持たしたのかも知れない。今夜のリサイタルも、いつものように軽妙な大人のトークを混じえながら、ブルーノートに相応しい曲が、次々と出てきた。
シャンソンとまた違って馴染みのあるポツプスナンバーは、聴衆の心を和ませ、身を委ねたように聴き入っていた。もともとアルトの音域が綺麗な彼女だが、殊にシャンソンは、人生経験を積んだ熟女の表現力が必要とされる。これからも精進して、聴く人の心に語りかけ、歌い上げて欲しい。
北岡さんの歌を初めて聴いた傍らの女優が、そっと目頭を押さえていた。離婚して14年ひたすらに生きてきた彼女は「思わず涙ぐんだ自分に、まだ素直な自分を見つけて、勇気が出ました」と話してくれた。
「歌うことを仕事とするようになると、趣味で歌うのと違い、責任を感じるし、行き詰まる事もありますが、そんな時、人間なんぼのもの、たかが人間、所詮人間、と…素晴らしい人も人間、自分がめげて卑屈にならないためにも、また、驕りが出ないためにも、と、自分に言い聞かせています。いつも自分を含めて、人が大好きで、百万本のバラの一節の〜見えない愛の灯がこの世にあるのだと〜この下りが真実だと思っています。」と、かつて語ってくれた北岡さんの事を、改めて思い出しながら、ブルーノートを後にした。
また、北岡さんは、大阪、東京、博多でリサイタルを、関西では大阪、奈良、伊勢、泉北等でシャンソンライブと、忙しく活躍している。以下、紹介をして置きます。
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