写真提供:尼崎孝雄氏(58期) |
reporter:河渕清子(64期)
第一部は「大正ロマン歌絵巻」。松井須磨子・島村抱月の恋物語をからませて、中山晋平、山田耕作の懐しい曲が次々と劇中歌として歌われた(プロ歌手も賛助出演)。
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58期ほか多くの六稜生の見守る中、いよいよ役者「奥田和夫」の登場!中大兄皇子(後の天智天皇)に仕える藤原鎌足役である。歴史の教科書で見た通りの扮装で髭をつけたメ−キャップもよく似合いまさに「藤原鎌足」以外の何者でもない(笑)。 声もよく通るし、脇役には勿体ないくらいの堂々とした時代に張った台詞まわし・所作は何となく歌舞伎風。品格もあり何時もながらの余裕ある演技も堂に入ったもの。惜しむらくは台詞の最後の方を早口に滑ってしまいがちなのが気になったが、これも日頃のお若さのなせる業かと(笑)。
中大兄皇子が「額田の姉をその方の妻にやろう」を受けて「またもや払い下げでござりますか?……これで二人目でござります……ハハ!有り難き幸せ…」と椅子から転げ落ちてみせるあたりなど、主役を喰った名演技に会場は沸いていた。カ−テンコ−ルでも、主役をしのいでの「鎌足」への拍手といい、抱えきれないほどの「花束」といいもはや「人気役者」としての証なのかも知れない。
【参考】万葉集より
「額田女王(ぬかたのおおきみ)」
茜さす 紫野ゆき標野(しめの)ゆき 野守は見ずや 君が袖振る
「大海人皇子(おおあまのみこ)」
紫草(むらさき)の 匂える妹(いも)を 憎くあらば 人妻ゆゑに 吾恋ひめやも
【劇団ASAミュ−ジカル】演劇愛好の中高年者を中心に結成された。現在の劇団員は40余名。その舞台から客席に伝わる温かな雰囲気は多くのファンの心を掴んでいる。結成以来毎年一回の公演を続け今年で19回目。和洋取り混ぜた演目に意欲的に取り組み熟年パワ−を遺憾なく発揮している。