reporter:蓑和田 明(66-67期)
六稜会館竣工、校舎大改築完了。そして130周年祝賀会を知らせる『六稜會報』が届いた。
パラパラとめくっていたら、九月から始まる文化活動、六稜トークリレーの記事が目に留まった。各界で活躍している同窓生が、月一回、第一金曜日の六時から、新しい会館の三階ホールで講演をするという。
面白そうだなと思っていたら、奈木進(66期)さんから誘いの電話をもらった。実を言うと、竣工した六稜会館を見たい気持ちもあったのだ。10月3日、上方文化評論家、福井栄一(97期)さんの話を聞きにいくことにした。テーマは『陰陽師2』の劇場公開前夜に会わせて「上方学でよみとく陰陽道」となっている。
内部は想像以上に落ち着いた雰囲気だ。エレベーターで3階へ上がる。66期は奈木さん、女性の方、それから私の3人だった。30人程の人が集まり、茶髪頭の福井さんの講演が始まった。
そして千年前、平安時代の陰陽天文博士、安部晴明の話に移る。母親は信太の森に住んでいた葛葉という白狐だったという伝説が残り、今は和泉市の稲荷神社に祭られている。また晴明の神社は京都にあり、最近の陰陽道ブームで観光の名所になり、連日にぎわっているそうだ。
陰陽師は明治維新まで官職に就いていた。今も宮中にその風習が残っている。例えば愛子さまが誕生されたとき、弓の弦を鳴らして聞かせた「鳴弦の儀」は邪気を払う陰陽道の術だという。最後にさらに視野は広がり、アジアの自然と深いつながりを持つ陰陽道思想などの話があって講演は終わった。
陰陽道というから『陰陽師1』から想像して、怪奇的な話かと思っていた。ところが理論的な内容が主だったので意外だった。実を言うと、『道教の房中術』(筆名・土屋英明、文春新書)を書いたとき、私も陰陽五行について調べたことがある。陰陽道を道教と結びつけ、勝手な想像をしながら、福井さんの話を想像していた。
むずかしいことをやさしく話すのは大変だ。その点福井さんは話術が巧みで、みな熱心に聞き入っていた。福井さんの上方学は奥が深く、私は陰陽道を再認識させられた。
ホールの片隅に冷たいカン・ビールが用意されている。会館チケットでも、現金でも買える。一杯飲みながら、講演者と懇談ができた。
その後、奈木さん、女性の方と三人で、十三の裏通りの中華料理店へ寄った。八宝菜、ワンタン、ギョーザなどを食べながらビールを飲み、語り合っているうちに年を忘れていた。『六稜會報』、トークリレーの案内頁に付いている「会館チケット」を切り取って、一度講演を聞きにいかれるといいだろう。