reporter:河渕清子(64期)
戦後58年目の8月8日、今年も非核平和都市20周年記念のイベントとして、関西芸術座有志の自主公演が吹田市文化会館中ホ−ルで19時より開演された。脚本は、もと当劇団員でもあった劇作家・土井陽子さん(64期)が戦争体験記「孫たちへの証言」をもとに書き下ろしたという力作である。
舞台は大阪。したたかにそして少々見栄を張りながら元気にイマを生きる80歳前後の女性を中心に、彼女らに絡む同世代の3人の男。戦争によって歪んでしまった彼らの人間関係が織り成す悲喜劇である。
出征して行く恋人が最後の別れに贈った「ボレロ」の曲、そんなロマンティシズムを掻き消すかのような「海行かば」など悲惨な戦争犠牲のあれこれが交錯する。
せつなく重苦しくなりがちなこの種のテ−マを、若者2人を登場させたりユ−モアに富む台詞をきかせたりで、劇作家土井陽子は明るく、そして人間愛溢れた物語に仕上げている。
当日は台風の接近で悪天候とにもかかわらず、『紅艶隊』の皆さんほか、この戦争体験芝居を観に来た人で会場はほぼ満席。舞台で演じられた「戦時中の青春時代」を戦争を知らない世代の目には果たしてどう映っただろうか?