reporter:矢野圭子(110期)
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【オープンに至るまで】
美美庵プロデューサー田丸氏は、1954年大阪生まれで北野高校の卒業生。京大法学部ではオーケストラ部に所属し、コントラバスで活躍した。最近まで、某大手商社で世界を飛びまわる名商社マンぶりをみせていた。その多彩な経験をいかして、今回の総合プロデュースに挑む。
美美庵クリエイティブ・ディレクターの竹山氏は、同じく1954年大阪生まれで北野高校卒、京都大学から東京大学大学院へとすすみ、今や、日本が世界に誇る建築家として知られる。彼の作品は枚挙に暇がないが、特筆すべきは北野高校・六稜会館の設計だろう。
2大プロデューサー・同級生コンビがタッグを組んだ背景は、大阪カイキ。回帰と快気。元々は「ヘルシーな料理」というシンプルなキーワードからはじまったプロジェクト。全く違うフィールドで活躍する二人が辿り付いたのが、地元「大阪」だった。この場所で、自分たちが楽しめて、一生をかけて携われるものを…という思いが美美庵をうんだ。
田丸氏は「三位一体」という言葉で美美庵を語った。一つが「竹山聖の美しい空間」、そして「若き料理人の本格京料理」、最後に「ホスピタリティ(おもてなしの心)」。全く違う世界にいた2人だからこそうまれる、全く新しいレストラン。2人が口を揃えて言うのは「素人感覚を大事にしたい」。
【美食空間を楽しむには】
2人が大切にするホスピタリティ。例えば「Giraud's Bar」。地下1階の食事スペースとは別に、1階に女性1人でも気軽に飲めるバーカウンターと、白いソファーが印象的なウェイティングスペースが設けられている。もちろん、源氏物語絵巻のレプリカをはじめ、アンディ・ウォーホールやロイ・リキテンシュタインの現代アートも楽しめる「プチ美術館」も、訪れた人たちの心を愉しませる。
店内や食器は白を基調としており、このシンプルな空間を彩るのが照明である。竹山氏が照明デザイナーの面出薫氏と組んで仕上げたという、自動制御のLED(発光ダイオード)によるアンビエントな照明効果。白い壁に埋め込まれたそれらはまるで発光する生き物のよう。静かに呼吸する光のオブジェにおもわず見とれてしまう。
美食空間でいただけるものはというと、美美庵オリジナルのカクテル「源氏物語」(他2種)をはじめ、シェリー酒やワイン、日本酒などをスタンバイ。期待の若き料理人がふるまうのは、京野菜と新鮮な素材を使ったコースがメインで、アラカルトもオーダー可能。また、パーティーメニューにも応じてくれる。ビジネス街の中心地ということで、関西のビジネスマンを支えるパワーランチも用意されている。
基本的に平日のみの営業だが、土日の営業も含め、パーティの貸切などにも解放していくようだ。3室のVIPルームでは特別な晩餐も楽しめる。六稜会館で同窓会を開いた後の2次会も大歓迎とのこと。目指すは「大切な日に大切な人と楽しめる店」。同窓生のプロデュースということであれば、ここを使わない手はない。
【今後も目が離せない】
「まずはこの新空間を定着させなければ」と田丸氏。マスコミからの注目度も高いので、ブームで終わってしまわないよう自由な発想で展開していきたい、というのが両プロデューサーの胸の内。秋には、フライデーナイトのお楽しみを企画している。ジャズコンサートやカルテットなど、小規模ではあるが上質のイベントを提供したいとのこと。これらの情報は、随時ホームページに掲載されるので、要チェック!
もちろん音楽イベント以外にも、芸術家の卵たちの活躍の場として、また、芸術の発信源としての役割も担っている。地下1階の壁面には、若いアーティストの手による造形物が並べられている。これらは、単なるインテリアではなく、れっきとした商品。お気に入りが見つかれば購入することができる。今後、月替わりで多様な作品が並べられる予定なので、来店のたびに注目してほしい。店で使用される食器も同じく、お気に入りを自分のコレクションにすることができる。