六稜NEWS-030504
    吹奏楽部 第6回定期演奏会

    reporter:服部友紀(116期)


    2003年5月4日…前々から私たちが“目標”としてきた『運命の日』…この日、わが北野高校吹奏楽部の第6回定期演奏会が行われました。
    開演直前、舞台袖で待機していた私を含む部員たちは皆、「不安」と「期待」の両面の入り混じった「緊張」でドキドキしていました。
    そして舞台へ…客席を見た私たちの目に映る多くのお客様方。嬉しすぎて胸が熱くなってしまいました。


    【第I部】

    第1曲目 Chanteys…船乗りの歌。
    「幕開け」にふさわしい一曲。わが部の誇る名物コンダクター:山田元の指揮でこの曲を吹く時、部員の表情は一番イキイキします。本番は、オープニングということもあり、やや緊張はしていましたが、気持ちよく演奏ができたと思います。この52人での最後の航海で、私は光を見た気がしてなりません。

    第2曲目 吹奏楽のための第1組曲
    この曲は、主題が変化して何度も現れる「シャコンヌ」、ソロの多い「インテルメッツォ」、曲のまとめにふさわしい壮大な「マーチ」の3楽章に分かれています。吹奏楽の古典の一つに数えられるこの曲は、私たちが仕上げるのに最も苦労した曲のうちの一つでもありました。限られた少ない時間の中で一生懸命練習した成果が出せたと思います。

    第3曲目 El Camino Real … A Latin Fantasy
    アルフレッド・リードによって作られたこの大曲を、顧問である佐々木先生の指揮で熱演しました。この曲は熱狂的な部分、情熱的な部分、哀愁を帯びた部分などがあり、とても表現の難しい曲でもありました。しかし、曲名の意味である「王の道」という言葉に言葉負けしないような、勢いのある演奏ができたと思います。


    【第II部】

    第II部は“おじいちゃんの思い出話”というテーマのもと、耳だけでなく体全体で楽しめる、しかも何か伝わるもののあるようなステージを目指しました。
    M.Cの和田先輩(110期)扮するおじいちゃんの演技にはお客様方も驚かれたのではないでしょうか。3・4曲目はOB・OGさんも加わり、迫力のある演奏ができたと思います。

    第1曲目 メイン・ストリート・エレクトリカル・パレード
    一人のおじいちゃんがかわいい孫をつれて北野遊園地へやってきました。孫は喜んで言います。「おじいちゃん、おじいちゃん、ほらほら、あっちからパレードが近づいてくるよ!」
    フルートのSoliからはじまり、吹奏楽全体によって奏でられる豪華なファンファーレへ…かくして第部がはじまりました。各パートやセクションによるスタンドもあり、華やかな遊園地のパレードの雰囲気を楽しんでいただけたのではないでしょうか。

    第2曲目 映画「海の上のピアニスト」より
         愛を奏でて〜ピーチェリン・ラグ

    船の乗り物に乗るのを待っている時、休みながらおじいちゃんが昔話をしはじめます。それはおじいちゃんが若い頃の恋のお話。「昔、わしが大きな船に乗る機会があってな、そこで一目惚れしたのは、ソロ歌手のバックで演奏している、ピアニストの女性だったんじゃ。それはそれはお美しい方じゃった…」
    この曲は、美しいピアノのSoloから流れるようにはじまります。他の楽器のSoloもあり、歌のSoloやダンスも入って、少しかわいらしいような小洒落た雰囲気も出せたかと思います。ソプラノサックスの切ないメロディーによる“愛を奏でて”と、明るく歯切れの良い、ジャズの前身であるラグタイムのリズムに基づいたピーチェリン・ラグとのギャップも、なかなか小粋にキマりました。

    アンサンブル 「星に願いを」
    おじいちゃんは言います。「そうそう、ああやって船の上では、歌ったり、陽気に踊ったりしたもんじゃった。あぁ、そうじゃ、楽器の演奏もあったのう、確かバラードが多かったような…」
    ソプラノサックス、フルート、ホルン、ピアノ、コントラバスによるアンサンブル演奏です。ムードたっぷりの甘い音楽を、お客様にお届けできたと思います。

    第3曲目 「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー
    なおもおじいちゃんは孫に語り続けます。「わしの若い頃と言えば、戦争が多くあったのじゃ。そういった情景をバックに、音楽の楽しさを教える、女性家庭教師とある一家を描いた映画があった。さぁシアターじゃ。その映画をもう一度見てみようではないか。」
    この曲もSoloが多く、歌もあり、映画に基づいたダンスもあるということで、お客様にも一緒に楽しんでいただけたことと思います。
    ゆるやかな動きの「サウンド・オブ・ミュージック」、楽しくノリノリ「ドレミの歌」、ヨーデルチックな「一人ぼっちの羊飼い」、ハイテンポで明るい「さようなら、ごきげんよう」、うっとりと美しい「エーデルワイス」、感動的な盛り上がりを見せる「すべての山に登ろう」を一気に演奏しました。

    第4曲目 グローバル・ヴァリエーション
    「ああ、いい映画じゃった…」そして、おじいちゃんは孫に諭します。「今も、悲しいことに、世界には戦争があるのう。戦争は良くない…すべてを失うだけじゃ。戦争をなくすことはできんかのう?すべての人々をつなぐものはないんじゃろうか?…いいや、ある。音楽と、音楽を愛する人々じゃ。私たちが世界平和の架け橋となることができるんじゃなかろうか。ああ、もう閉園の時間が近づいてきたのう。終わりのパレードが聞こえてくる頃じゃ。それでは世界中が平和になることを祈って…」
    キーンコーンカーンコーン…チャイムの音からはじまるこの曲では、1年生が異国の衣装を身にまとい踊るという演出もあり、華やかな第II部のエンディングにふさわしいものになったと思います。たった8分余りで世界一周旅行を成し遂げてしまうこの「地球変奏曲」は、壮大なスケールで、国それぞれの違った雰囲気を出しながら演奏できたと思います。


    【第III部】

    はじめに花束紹介をしました。たくさんの花束をいただき、部員一同、心励まされました。

    第1曲目 マーチ「ベスト・フレンド」
    今年度の吹奏楽コンクールの課題曲です。この曲は、大阪音楽大学院生である作曲者が、特に中学、高校の吹奏楽部で出会う仲間や触れる楽器がかけがえの無い最良の友達であって欲しい、と願って作られた曲だそうです。生涯の友を手に入れた、私たち北野ブラスにぴったりな曲です!曲中に出現する様々な対旋律が衝突することなく、良いバランスを保ちながら、まるで人と人とが楽しく会話するように、音と音とのコミュニケーションを創り上げていく、わくわくしてきてしまうような楽しいマーチを演奏できたと思います。

    第2曲目 3年生を送る曲 「青春の輝き」
    マイクアクシデントという思わぬハプニングがありましたが、私たち3年生を送るのにぴったりの曲を、2年生がステキに演奏してくれました。
    後輩たちの成長ぶりに、3年生は涙、涙...でした。

    部長あいさつ
    すべての方々への心からの感謝の気持ちと、「北野ブラス」というチームでプレイできた喜びの気持ちを、部員代表として伝えられたと思います。

    第3曲目(プログラム上ではラストの曲) メジャー・バーバラ
    この曲は映画音楽で、貧しい人々を救おうと奮闘するバーバラ少佐と、兵器工場を経営するアンダーシャフト氏との対立を通して「貧民救済とは何か」というテーマが描かれたものです。
    トランペットのファンファーレから華やかにはじまるこの曲は、フィナーレも金管楽器の壮大な響きで幕を閉じます。とても起伏に富んだ曲ですが、金属的な効果音の鳴り響く、重工業工場を思わせる厳しい雰囲気の部分や、天使のような歌声とオーボエによって示されるロマンティックで美しい、甘いラヴメロディーが奏でられる部分なども、皆表情豊かに演奏していました。
    心を込めて表現した、貧民救済というテーマの持つ「厳しさ」と「人間の愛の美しさ」は、お客様の心にも届いたことと思います。

    大きな拍手が手拍子にかわり、アンコールへ。


    【アンコール】

    第1曲目 I DREAMED A DREAM
    しっとりとした雰囲気の曲を、久留島由子の指揮のもと部員全員心をひとつにして演奏しました。皆で過ごしてきた今までの思い出が胸の中でキラキラと輝いて、演奏も気持ちのこもったものとなりました。

    第2曲目 オーメンズ・オブ・ラヴ
    これまで一緒に頑張ってきた2・3年生52人が、お世話になってきた大好きな佐々木先生のもとで演奏する最後の曲でした。
    部長:服部友紀の「恋の予感!」というシャウトのあと、部員全員の「オーメンズ・オブ・ラヴ!!」というシャウトが入り、曲が明るくはじまりました。疲れなんてこれっぽっちも感じさせない元気さと、そして何より、皆の「音楽が大好き!!!」という気持ちが、素直に音楽にあらわれたように思います。

    本番前日、「明日の1番最後の音。ホールいっぱいに響かせた後、心の中にしまってください。きっと思い出になります。」というお言葉を、あるOGの先輩からいただきました。あのホールに満ちた音の響きは、私たちにとって一生忘れられない、最高の思い出となりました。
    あっという間だったけれど、輝いていた夢のような2時間でした。
    この2時間で、
    「何のために毎日あんなに頑張っていたのか」
    「何のために音楽をやっているのか」
    「何のために定演をするのか」
    という問いに対する、私なりの答えが見つかりました。
    多くの人とひとつの『音楽』というものを共有するためなのではなかったのかな、という気がします。
    “一人じゃ、こんなに絆の強い、こんなにまとまりのあるクラブは創れなかった、こんな素敵な想い出つくれなかった”…と、私は心から思います。一人でないという強さの可能性は無限大である、ということを強く強く感じました。
    北野ブラスで学んだ、かかえきれないほど多くのことは、これから人生生きていくなかで、絶対無駄にはしたくないです。
    私は、「北野ブラス」というチームでプレイできて、最高に幸せでした!
    応援してくださった皆様、本当に本当にありがとうございました。
    これからも日々努力し進化し続けてゆく北野高校吹奏楽部をどうぞよろしくお願いいたします。


    Last Update : May 29,2003