連休も明けた五月雨模様の5月7日18時より、64期の土井陽子さん(作家)と、辛淑玉さん(人間育成コンサルタント)の2講師による講演がフレアホ−ルで開かれた(コ−ディネ−タ−:櫻井三枝子大阪経済大学教授)。あいにくの雨天にも拘わらず、ほぼ満席(936席)の盛況振り。学生に混じって中高年の男女の受講者もかなり見受けられた。六稜関係では、応援に駆けつけた数名の64期生のほか、54期の稲本先輩、58期の尼崎先輩ほかのお顔もお見受けした。
【辛さん講演要旨】
男女の役割分担が変わりつつある現在の日本ではあるが、家庭での「父と子の会話」「夫と妻の会話」が少ない現状を例に取りながら、先ず男性が国家を背景にしたがる傾向を是正しなくては 21世紀社会の発展はあり得ない…と話した。
活発に視聴者からの意見を求めながらのアクション入りのト−クはさすがで、会場は湧いていたようだった。
【土井さん講演要旨】
作家活動にも、座力・知力・感性の要素が重要であるが、中でも座力 (机の前に座り続ける忍耐力)は女性の方が男性より勝(まさ)っていると思うし、知力・感性は男女とも年齢と共に膨らみこそすれ老いることは無いだろう。
私は作品の中でも常に“女性”を考え、発信している。2、3の作品の内容から例を取って紹介後、宇野千代さんの生きざまなどに触れ、逞しい生命力を備えている女性こそ、世相に流されず自己の目で見て考え21世紀の社会に向けて活動してほしい。これは若い世代の女性に特にお願いしたい。と結んだ。
終りに、同じ三月生まれで彼女の私淑する亡き斉藤史(ふみ)さんの短歌、
“老いてなお 艶(えん)と呼ぶべきものありや 花は初めも終りもよろし”
を披露。老若を問わずに生きることの素晴らしさを語った。其処には、今もなお着実に作家活動への意欲を燃やし続けている土井陽子の姿をあらためて見る思いだった。