六稜NEWS-010327
     
    木川田先生、
    文化功労表彰のお祝い

    reporter:谷 卓司(98期)



      R.ワーグナーの晩年の名作『パルジファル』の公演をご記憶の方も多いと思う。5時間におよぶ公演時間、総勢300名におよぶ出演者という…音楽史上希に見るスケール感の最高傑作を、この人の執念が33年ぶりに関西初演へと結実させた。昨年10月、アルカイックホール(尼崎市)での上演だった。

      その木川田誠先生が、平成12年度の地域文化功労者(芸術部門)として文部大臣表彰をお受けになった。今日はそれを「祝う会」として、わが国を代表する音楽界の錚々たる重鎮が、帝国ホテル大阪(5F)吉野の間へと参集した。代表世話人の久後晶氏は六稜71期。「ボクが2年生の時に先生が北野に赴任して来られた。美術を選択していたから直接は木川田先生の授業を受けていないけれど…音楽鑑賞の授業に一度潜り込んだことがきっかけで、以来40年間のおつき合いをいただいています(笑)」

      ※天神橋で創業明治18年の乾物卸商を営む久後氏は、裏方としてあまり多くを語らなかったが、北野時代から大の音楽好きで当時の木川田先生が一目も二目も置くほどのレコードや楽譜のコレクターだったという…。この辺りの詳しいお話は近々に「恩師を訪ねて」のコーナーで紹介することになっています。乞うご期待!

      相愛大学で先生の薫陶を受け、現在は楽壇の第一線で活躍する数多くの音楽家にまじって、北野時代の数少ない教え子として、75期の有志もお祝いに駆けつけた(写真)。
      曾根崎で創作料理のお店を営む広瀬加代子さんもそんな教え子のおひとり。「120周年の第九は未だに忘れられない思い出のひとつ」木川田先生とともに同じ舞台を踏んだ当時の様子を回想する。

      「老骨に鞭打って…」と挨拶の中で自嘲される木川田先生であったが、なんのその。地底の奥深くから響いてくる先生のあの力強いバリトンは今なお健在で、われわれ音楽ファンの心を魅了してやまない。


    Last Update : Mar.27,2001