十三に新校舎
昭和6(1931)年4月
北野旧校舎(現在の済生会中津病院付近)から十三新校舎への移転は、車に机や 椅子を積み、手に手に書籍や標本を持った生徒達が列をなして十三大橋を渡ると いうものであった。
新校舎は当時の近代的設備を備えた堂々たるものであった。とくに、スチーム暖 房は府の許可を得ぬまま、保護者からの寄付を募って設置されたものであった。 この醵金募集趣意書には「暖房の設備がなければ生徒は学問と戦う以外に更に寒 気と戦かはねばなりません。これでは学問の進歩向上は大いに阻害され減殺され る次第であります」という親心がこもっているが、5年生全員は「六稜魂の真髄 はいかなる烈寒といえども精神力ではね返し、勉学につとめ、強健なる身体にき たえ抜いていくことである」といてスチーム暖房を断固拒否し、授業をボイコッ トするという一幕もあった。
翌年4月7・8日の両日、校舎落成式典が挙行された。いずれも1000人近い
来賓を迎えて、落成を祝う花火が炸裂するという盛大なものであった。