僕は「それはすごくラッキーだよ」と言ったんです。日本人は殆どの人が「かろうじて英語のできる人」がやっと。4カ国語自由自在に操れるというのは…(日本語入れて5カ国語でしょ)…それは大変珍しい、そういう教育をあなたにされているご両親は、立派な人だと言ったんです。
「いや、私は日本の小学校へ行きたいンだ。両親が言うから嫌々こっちへ来てるンだ」と言うんですね。お父さん何してんの?て聞いてみたらね、確か…ホンダかどこか有名な会社の社長のお嬢さんだった。僕は常々「子供のころに外国へ行って語学をやりなさい」と言っていたのでね。アッと思って、これからこういう人が増えてくるなと思ったのですがね。
僕には息子が2人いるんだけど「おまえらね、今に英語できないと世の中に出ても使いモンにならんぞ」…2人とも成城大学へ行ったんですがね…1年生の時に「今、行っておかないと遅くなればチャンスはなくなる」と。長男はぐずぐず言ってたのですが「俺がこれからアメリカへ行くから付いて来い」と言うと渋々付いてきた。で、アメリカでね「俺は帰るから、おまえはココに残れ」そう言ってユダヤ人の友達に長男を預けて帰ってきた。そしたらシカゴのロヨラと言う学校に長男を入れてくれて1年後、長男は英語が出来るようになって帰ってきた。
今度は弟のほう。晩飯の時に「兄も俺もおふくろも英語できる。家族で英語できないのはおまえだけだ。すぐにアメリカへ行け」と。すると弟はパスポートは持っていたんですが「じゃ、アメリカ手配してくれ」と言うンで、その場でシカゴの友人に電話して「かくかくしかじかで次男が行くから頼む」と。「じゃ、すぐ寄こせ」という快諾をもらった。
次男の話だと…向こうへ到着するや否や、空港まで迎えに来てくれた僕の友人が、次男の持ってるパスポートと現金を取り上げて「親父サンに頼まれているから」と言って「ワシがOKするまで君は日本へ帰ってはならない」と。それで滞在場所として小さなホテルを世話してくれて…ルーズベルト大学だったかな、そこへ入れてくれた。僕は毎月1,000ドルづつ送金してやったけれど…息子は2人とも音楽が好きで年に170回も音楽会へ行った…というほどで「金が足りない」って言うんです。「当局に見つからないように働いていいかと?」と言うから「いい」と。それでピザ屋とかマクドナルドで働いて…結構、小遣いの足しになったみたいです。
今この2人は僕の別の会社で…(日本マクドナルドを継がせられるほどの器でないんでね)…外人の客が来たりすると通訳を率先してやってくれています。やっぱりね、学生時代に外国へ行って勉強したっていうのが自信になっているんです。それが必要だと思うんですけどね。
僕はね…学位なんてとらなくていい。要するに英語が自由自在にできるようになったら帰って来いと言ってた。そうしたら出来るようになって帰ってきたのです。若い人は行こうと思ったらいつでも行けるじゃないですか。
だから北野の人にも…お父さんお母さんに、最低の生活するだけのお金を工面して貰って…そしてアメリカへ行って(こっそり働いて!)どこか大学へ行って勉強すると言うことをやればいいンだ。ま、なにもアメリカに限らないですよ。さっきも言ったようにスイスでもいいですしね。えぇ。
北野へ来るぐらいの子で、何か世の中に打って出てやろう…と思うのでしたら、もう最低2カ国語はやらないといかん。英語は当たり前やね。そのほかにフランス語かスペイン語かロシア語かドイツ語か…何でもいいから最低2カ国語、できたら5カ国語くらいは出来るとなおいい。
いまや日本の大学は「大学」やありませんから。東大だって僕に言わせれば幼稚園みたいなもんでね。ほんとに…外国の大学は勉強しないと落っちゃうんですよ。日本は入るまで勉強して、入ったら勉強しないでしょ。だから北野の人はいち早く外国へ行って…スイスみたいなところへ行ってね…そういうところで外国語を覚えてほしい。5、6カ国語をマスターして、それから世の中へ出て行ってほしい。ましてやね…英語も出来んちゅう人はこれからだめですよ。もはや使い道ないです。
何故かと言うとね。今の中国の指導者階級は、ほとんどがアメリカへ留学して勉強している人が多い。東南アジアやシンガポールにしたって、30代の指導者階級はみな英語が出来るのです。だから考えが非常に進んでいるんですね。そう言う意味で北野の若い諸君も是非、いち早く外国へ行って外国語を勉強してほしい。20歳すぎてから行ったのじゃあ遅いよ。
僕は今日、合弁会社をやってて…世界のマクドナルド・グループの中で日本マクドナルドが世界一なんですけど…しょっちゅうアメリカへ行っていろんなことを交渉するのですがね。これは、たまたま英語ができたから直接話して交渉ができた。こんなの…通訳通じてやっていたら、とてもじゃないけど仕事出来ませんよ。やっぱり、語学はやらないとアカン。
もし、僕が英語ができなければ…今日の僕は無かったですからね。