【連載】なにわことば三昧(21)

    うまき、うざく

    中井正明
    (64期・なにわことばのつどい代表世話人)


      男同志、会話が弾んで参ります。

      山本(ヤ−モッ)さん、よかったら帰りしなに
      一寸、ウチ寄っとくなはるか。
      いや、一杯遣(や)ろか思(おも)て、
      家内に段取(だんどり)さしてまんねん。
      ご馳走(ッツォ)やおまへんけど
      この間(コナイダ)から講習受けよりましてナ、
      作っとりまんねん。“うまき”と“うざく”、
      そやサカイ一寸だけで結構(ケッコ)だス。
      寄っとくなはれ!

      さよか。ソラ、ご馳走(ッツォ)はんで。
      ホナ電話一本入れといてお邪魔に上りまっさ。
      おぉきに、ありがとさんだす。

      二品共大阪独特の料理で短絡語。
      玉子巻の中に鰻の蒲焼を巻き込んだのが鰻巻(ウマ)き。
      蒲焼を刻んで胡瓜のざくざくに混ぜたンが、鰻(ウ)ざく。
      “ざくざく”は材料を刻む音の名詞化で、大阪ならではの料理名。


    Last Update: Mar.23,2002