【連載】大阪の橋

    第23回●神崎橋(7)
    現在の神崎橋

    松村 博
    (74期・大阪市都市工学情報センター理事長)



       現在の神崎橋は昭和54年に完成したものです。高潮対策の必要性から橋は約3mも高くされ、スパンも大幅に広くなりました。また大阪市と兵庫県の都市計画によって道路が大幅に拡げられ、橋も幅22.5mと倍以上になりました。この橋は5径間になっていますが、真ん中は3径間連続のプレストレスしない合成桁になっており、支間長が76.5+88.0+76.5mというのはわが国最大の規模になっています。合成桁という形式の技術発展の成果が同じ橋で示されたことは意義深いことです。

       この橋の事業では、取り付けの道路に面した民家のかさ上げ補償や用地買収に長い時間がかかり、全体の完成にはなお5〜6年の歳月を要しました。

       この橋には一風変わった文様の高欄が建てられています。直弧文と呼ばれる弥生時代から古墳時代にかけてよく用いられた文様で、呪術的な意味をもつものと考えられています。神崎橋の近くから弥生時代の遺物が出土した記録があることや、兵庫県側の猪名川筋は遺跡の宝庫といえる地域で、この地の歴史を少しでも思い起こしてもらいたいという意図が込められています。




    Last Update: May.23,1999