【連載】大阪の橋

第6回●十三大橋(6)
新十三大橋

松村 博
(74期・大阪市都市工学情報センター常務理事)

    戦後、昭和30年代半ばになりますと、自動車が爆発的に増加し、淀川の橋が少ないこともあって、十三大橋へ集中して十三や中津の交差点では常に車が渋滞 するような状態になりました。これを解消するために、延長約3.5kmの十三バイパスが計画されました。昭和37年に十三側の高架道路の部分から工事が始 められ、およそ5年の期間と約50億円の建設費をかけて昭和42年5月に全線が完成しました。このバイパスの一環として新十三大橋が架けられました。現在は新十三大橋をすべて北行にし、十三大橋の4車線のうち3車線を南行にして効率的な交通処理 が計られています。新十三大橋は両岸の堤防を跨いで架けられていることもあって、橋の長さは793mにもなります。スパンはほぼ90mで、川の中の基礎に は深さ約23mのニューマチックケーソンが用いられました。上部工は鋼製の床版を2本の桁で支えた、非常にシンプルな構造になっています。

    この形式は戦後進められた橋の技術革新の成果を反映したもので、より長く、より軽くを実現した橋と言えるでしょう。桁の高さは約3mに統一され、スマー トなデザインになっていますが、人によっては素っ気ないデザインであると感じるかも知れません。旧十三大橋の重厚なデザインとはいかにも対照的です。さて 貴方はどちらの橋が好きですか?

Last Update: Aug.23,1998

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